「2012年Jリーグ1部、自分なりの開幕直前考察(その2)。」

 こんにちは。愛球人と申します。

 

 「愛球人ホームページ。」、第10回のブログエントリーの論題は、「2012年Jリーグ1部、自分なりの開幕直前考察。」です。

 

 実質的には、ブログエントリーの本論の9回目になります。そして、サッカーブログエントリーの3回目になります。

 今回は、掲示版とのコラボエントリーの2回目、という位置付けです。今回は、「議論するエントリー」と「感じることを伝えながら読者と意見交換をもしたいエントリー」の中間型という位置付けになるかなと思います。

 今回は、とても長い文章になるので、(その1)(その2)(その3)に分割して執筆させて頂きます。

 

 ブログ本体については、コメント欄は設けません。その一方で、読者との議論、意見交換的な意味付けとして、掲示板にてコメント欄を設けさせて頂く感じです。

 私のHPにおけるブログは、過激な内容がどうしても多くなることかと思いますが、今回は、とりわけ過激になってしまうかな、と正直感じております。読者の中には、私の考えに共感できない、と考える人間も少なからずいるかなと思いますが、こういう考えもあるんだ、と解釈して御拝読して頂けると、とても有難く思います。

 

 では、(その1)の続きから、考察を始めます。

 恐らく、主観全開になるであろうことを御理解頂けますと、とても有難く思います。

 

 

  (図解2)愛球人が考える、2012年名古屋理想布陣。

 システム(4-3-3)

 監督(ストイコビッチ)

 

                     ケネディ

                    (永井謙)

 玉田                                       金崎

(田中輝)                                    (田鍋)

             藤本淳              小川

            (中村直)            (磯村)

                     ダニルソン

                     (吉村)

 阿部翔         ダニエル             闘莉王         田中隼

(佐藤和)        (増川)            (新井)        (石櫃)

                     楢崎

                    (高木義)

 

 

 まずは、名古屋の考察から。

 これは、一人のサッカーファンとしての持論なのですが、自分は、下記の思いを、強く抱いているのです。

 

 「Jの有力クラブたるもの、『自分たちのサッカースタイル』の構築及び具現化は勿論であるが、このことと共に、『ACLトロフィー』を最大目標として然るべきである。」

 

 このことに照らせば、今季のJクラブにおいて、「ACLトロフィー」ということに照らせば、名古屋が最有力ではないか、と思う訳です。理由を下記に記しましょう。

 

 

 (図解2B)愛球人が考える、2012年名古屋の持ち味と不安要素。

 

 [持ち味]

 (1)ケネディ、闘莉王という絶対的な「軸」の存在。

 (2)「自分たちのスタイル」の熟成(08年から数えて、5年目に突入している)。

 (3)個人能力の高さ(少なくともレギュラー候補だけを見ればJ最強であると映る)。

 (4)経験豊富な選手の多さ(楢崎、中村直、玉田等。チームを鼓舞できる存在になり得る)。

 

  [不安要素]

 (1)モチベーターとしては有能だが、ターンオーバーをもっと機能させるべき(勝負どころの試合に照準を合わせる選手起用の工夫が必要かと)。

 (2)故障リスクの高い選手が多い(ケネディ、闘莉王、玉田、ダニルソン等。軸となり得る選手に集中している)。そして特定選手が欠けると一気にパフォーマンスが落ちる傾向(ある程度は仕方ないが、例えば昨季のJでのアウェー清水戦のように、闘莉王がいないだけで攻守両面であたふたしてしまう。これが結局、尾を引いた感じが)。

 (3)(1)にも関係するが、特に若い選手の底上げが絶対不可欠(特に、田中輝、田鍋、佐藤和をどれほど成長させられるか)。それができれば、ターンオーバーの機能性向上、そして複数の布陣の使い分けが可能になると思うが。

 

 

 名古屋を自分が強く推すのは、「やろうとしているサッカーの方向性に共感できるから。」という要素が強くあります。ただ、えてして「個人能力への依拠の大きさ」が散見される傾向も否めません。

 昨季、ACLでの16強敗退、Jでの「勝ち点1差」での2位、という結果は、「特定選手への依存度の高さ」の付けを支払わされた帰結ではないか、と自分は思っているのです。

 尤も、ケネディ、闘莉王の2人は、卓越する個人能力の持ち主です。ですから、いなくなった時のダメージがどうしても出ることはやむなしでしょう(どうしても、「存在自体が戦術」になることをも含めて)。

 で、ケネディ不在時は、例えば、玉田、永井謙の「快足2トップ」による「スモールラインナップ」で打開を図っていましたし、それ自体は評価できます。ただ、守備面での闘莉王不在時のダメージ(低い位置からの組み立て、ラインコントロール、守→攻への切り替え)は、あまりにも甚大すぎる。これは何とかならないか、とずっと抱いてきました。

 また、SB陣が勝負どころであたふたする傾向も、ずっと気に掛かっていました。運動量は特筆できますが、勝負どころでの突破力の減退傾向が。その意味で、ピクシー政権での長年の懸案であった、「右SBの2番手」としての石櫃の獲得は、特に田中隼にとって大きな刺激になり、自分は高く評価しています。

 

 ですが、もしも名古屋が、本気でACLトロフィーを叶えたいと思うならば(個人的には、今夏に、バスケでいう「支配的PG」的な「10番」になり得る、新外国人のゲームメイカーの獲得を強く願っていますが、それはともかくとして)、下記のことが、とても大切になるように思う訳です。

 

 「若手の底上げの必要不可欠性。格下との試合主体に、積極的に若手を起用すべきではないか。」

 

 特に、田中輝、田鍋、佐藤和の3人を示しましたが、勿論、潜在能力の高さを買ってではあるのですが(特に田中輝は、創造性と仕掛けを兼備し得る選手であるし、金崎クラスに成長し得る可能性を秘めるのだが。平素の練習姿勢がわからないので何とも言えないが、花井のようにプレッシャーに押しつぶされるようになって欲しくない)、戦力構成的なこともあります。

 例えば佐藤和。スピードと運動量を兼備すると伺う左利きのSBと伺いますが、格下との試合主体でも、佐藤和を「ターンオーバー要員」として起用できる感じにできれば、阿部翔の負担を軽減できて、ACLのステージで、阿部翔が攻守両面で持てる力をより一層発揮し得ることになるのでは、と思う訳です。

 

 そして、「金崎の完全復活」。自分は、名古屋がACLトロフィーを叶え得るための最大の要素の一つとして、このことを挙げたいと思うのです。

 正直、昨季の金崎は、度重なる故障にあえいだことも含めて、失意のシーズンだったでしょう。

 ですが、ドリブルのレパートリーは、少なくともJの日本人選手では有数のレベルであると思いますし、サイドでも中央でも「違い」を生み出せる。攻撃的なポジションならば、ほとんどのポジで対応可能であることも、大きな強みでしょう。

 個人的に願うのは、金崎には、ロンドン五輪の「18人枠」に到達し得るパフォーマンスを取り戻して欲しいし、金崎ならばできるはずである、と強く思うのです。もともとはCHで、守備意識や運動量も水準以上ですし、「サッカーIQ」に優れる選手である、と強く思っているのです。

 その意味で、田中輝、田鍋の底上げの重要性を述べるのは、金崎への刺激の意味合いもありますし、金崎が五輪出場を叶えたときに備える意味でもあります。

 

 そして、闘莉王不在時にどうするか。というのも、闘莉王は「故障リスク」の大きい選手でもありますし、ロンドン五輪でオーバーエイジでの出場の可能性もあります。

 その意味でも、個人的には、ダニエルの重要性を感じるんですよね。特に、低い位置からの組み立てという意味で、闘莉王不在時のダメージをある程度軽減し得るのでは、そしてまた、CHにも対応できると伺うので、ダニルソン不在時の代役にもなり得るかな、と思う訳です。

 あるいは、新井。昨季のラウンド16では、正直、特にメンタルの脆さが散見されたように伺いますが、今冬のスペイン留学(レアル・ソシエダへの練習参加)で、殻を破ることができれば、それだけでも、守備陣の底上げという意味で、大きなプラスになると思うんですよね。

 

 

 いずれにせよ、今季の名古屋については、自分は、下記のことを、強く抱く訳です。

 

 「ACLトロフィーを叶え得る陣容は揃えたと思う。ただ、Jとの2冠を狙うよりも、まずはACLトロフィーに全力を注ぐ方が賢明かと。ただ、Jでも、ACL出場権獲得は充分可能と考える。

 ただし、ACLトロフィーを叶え得るためには、ターンオーバーの機能性を高めること、より深く述べれば、若手の底上げなくしてACLトロフィーなし(無冠もあり得る)、と考える。」

 

 

 ここで述べておくと、今季のJの覇権争いは、「どうなるかわからない。」ということです。

 極論めいた表現になりますが、混戦になるだろう、と。そして、ラスト5試合くらいにならないと見えてこないのではないか、と思う訳です。

 

 その一方で、ACLトロフィー、という尺度では、名古屋に最も期待していますが、G大阪、柏、FC東京にも、少なくとも、「8強には到達して欲しい」、と強く願う訳です。

 

 

 とりわけ、関西在住の一サッカーファンとしては、G大阪に注目せずにはいられません。

 

 

 (図解3)愛球人が考える、2012年G大阪理想布陣。

 システム(4-3-3)

 監督(セホーン)

 

                     ラフィーニャ

                    (佐藤晃)

 パウリーニョ                                  李昇烈

(大塚、星原)                             (佐々木、阿部浩)

             二川               遠藤

            (寺田紳)            (倉田、横谷)

                     武井

                    (明神)

 藤春          今野               丹羽          加地

(沼田)        (金正也、内田達)        (中澤聡)   (エドゥワルド)

                     藤ヶ谷

                    (木村敦)

 

 

 では、G大阪の考察です。

 

 

 (図解3B)愛球人が考える、2012年G大阪の持ち味と不安要素。

 

 [持ち味]

 (1)ACLの常連。「勝利のメンタリティー」。それを支える経験豊富な選手の存在(遠藤、二川、加地、明神等)。

 (2)10シーズンに及ぶ西野朗政権で培った「自分たちのスタイル」。

 (3)個人能力の高い外国人3トップ。そして絶対的司令塔、遠藤の存在。守備の軸としての今野の存在もプラス。

 (4)有望な若手、中堅を多く擁すること。はまれば戦力値向上に直結し得る。

 

[不安要素]

 (1)西野朗政権時代の10年間(特に、「黄金のMF」主体のスタイルの06年からの6年間)で培ったスタイルの修正方法次第での崩壊の危険性。特に、西野朗監督や、橋本英、山口智という「功労者」との別れ方にしこりがあるだけに、尾を引きやしないか。

 (2)有望な若手を多く擁する一方で(そして、J有数の育成組織を擁する一方で)、西野朗政権時代では、それをあまり活かせずにいた。特に、外国人がFWに集中していることが、不協和音の引き金にならないかという不安。

 (3)右SBの控えが事実上不在(エドゥワルド、沼田は左利き。特にエドゥワルドは調整遅れが漏れ伝わっているが)。また、MF陣でも、特に明神は年齢的な不安があるだけに(それを補って余りある強靭な精神力の持ち主でもあるが)、あまり酷使し過ぎると、という不安がある。

 (4)上記のことと関係するが、若手、中堅の底上げ(特に、例えばMFならば倉田、寺田紳)。そして、ターンオーバーの機能性向上、そして複数の布陣の使い分けがどれほどできるか(特にCB陣は5人共にそれなりの能力があるだけに、例えば3バックとの併用も面白いと思うのだが)。

 

 

 個人的に、G大阪は、関西在住でもあることから、ずっと注目し続けております。

 特に、06年からの「黄金のMF」(遠藤、二川、橋本英、明神)を前面に押し出すポゼッションスタイルは、自分も高く評価してきました(チームマネジメントはともかく、志向する方向性には強い共感を抱いた)。

 

 純粋な戦力値だけならば、「ACLトロフィー」を叶えても、何ら不思議ではない、と思っています。

 ですが、今季の自分のG大阪に対する見解。

 

 

 「築き上げた『自分たちのサッカースタイル』の『深化的継承』が求められる一方で、守備面を中心に、確かにある程度の修正は必要かもしれない。しかし、最大の強みである『強い攻撃志向』『アクションスタイル』の放棄は絶対にあってはならない。そして、若手、中堅の積極的起用なくして、チーム力の向上は難しい。

 外国人にFWが集中していること、戦力構成の偏り(特に右SB)、世代交代の方法論、等々、リスク要因を少なからず内包しているだけに、ACLトロフィーも、あるいは昨季の浦和のような崩壊も、両極端起こり得る。」

 

 

 例えば、今野の獲得。確かに、今野は、日本有数のCBであることに異論は恐らくほとんどないでしょうし、自分もそう感じます。「サッカーIQ」の高さも、特筆に値するでしょう。

 ですから、「守備の軸」としての今野の獲得は、中長期的スパンでは、なるほどと思う。

 ただ、このポジション、もともと下部組織上がりの有望株、内田達がいます。統率力や組み立て能力には、強い可能性を感じてきた。ですが、今野の入団で、少なくともCBとしては、3バック採用時等でない限り、厳しいと考えざるを得ないでしょう。

 (ちなみに自分がGMならば、確かにCB獲得は納得だが、自分ならば金英権[大宮]を狙う。組み立て、統率力、強さ、読みを兼備するからである。そして右SBも、「サイドのマルチロール」、渡邉大[大宮]を狙う。あくまでも自分ならば、であるが。)

 

 あるいは、外国人FWが3人もいること。今冬、平井が(レンタルとはいえ)退団しましたし、大塚、星原という有望株がいるにもかかわらず(そして故障で長欠確定とはいえ、川西も有望な存在)、ターンオーバーでない限り、少なくともFWの一角での起用は厳しい感じです(尤も、星原については、「4-4-2」のサイドハーフのオプションという方法もあってよいと思うが)。

 

 「ポジションは自分でつかむべきものである。」

 確かにこれは一つの真理であると思いますし、「与えられる」意識ではなくて、「絶対につかんでみせるんだ」という、主体的な意識があってこそできる、と強く思います。

 ですが、どうして、下部組織上がりの有望な選手のいるポジションばかり、実績充分の選手を獲得するのか、という感じもするのです。

 

 杞憂に終わるに越したことはない。戦力値だけならば、名古屋に匹敵しますし、選手層ならば、むしろ上回るかもと思っています。

 ですが、自分は、どうも今季のG大阪は、「08年の浦和」と同じような「におい」を感じるんですよ。

 

 

 気に掛かっているのは、橋本英が、退団時にこぼした言葉です。

 

 「僕は幸い、ずっと西野さんに起用してもらっていたけど、評価面でも、起用法でも、特に下部組織上がりの有望な選手がないがしろにされている感じであることに、ずっと違和感を抱いてきた。」

 

 評価面のことは、正直わかりません。ですが、少なくとも、起用法という意味で、例えば家長、寺田紳、倉田をはじめ、もっと出場機会を充分に与えることができないか、という思いは、強く抱いていました(だから、寺田紳、倉田には、今季、少なくとも25試合クラスの出場機会をつかんで欲しい、そして定位置へ、と強く願っています)。

 

 08年の浦和。前年にACL優勝。しかし、当時のオジェック監督と一部選手(ワシントン、小野、闘莉王等)の確執がいわれており、しかも、ACL優勝に大きく貢献した永井のポジションに、エジミウソン、高原の2人を獲得しました。これが崩壊の引き金になった、と自分は思っています(少なくとも、高原獲得で永井のプライドを少なからず傷つけたことは否めないと思っています)。

 そしてあのときの浦和。若手にまともに出場機会が与えられなかった(いまではアウクスブルク[独]で定位置の細貝も、当時は08年半ばにようやく定位置を手中にした感じだった。07年はターンオーバー要員になっているかさえ微妙だった)。

 

 似たようなにおいを感じる、というのは、例えば、呂比須HCが『影の指揮官』として振る舞うのではないかということが公然といわれていること。

 そして、何よりも、西野朗監督、橋本英、山口智という「大功労者」を、追放同然で放出したことにあります(確かにいつかは別れが来るが、「別れ方」というものがあるはず。感情論になるが、納得できなかった)。

 例えば、西野朗監督ならば、「勇退」という感じに持って行けなかったのか。「黄金のMF」をはじめ、慕う選手は多かったはずです。

 そして、橋本英。現在のG大阪があるのも、現在の遠藤がいるのも、橋本英の卓越する「サッカーIQ」があってこそです。ましてや下部組織上がりの「バンディエラ」であるはず。

 そのような「大功労者」に対して、戦力外通告。激しい憤慨と失望を禁じ得ませんでした。

 

 確かに世代交代は待ったなしでしょう。だからといって、「バンディエラ」になり得る選手(黄金のMF、加地、山口智)は、よほどのことがない限り、「G大阪で引退させる」配慮があってしかるべきではなかったか。放出する必要性はなかったのではないか、と強く感じるのは、自分だけでしょうか?

 

 ですから、今季のG大阪については、自分は、下記のことを、強く抱く訳です。

 

 「ACLトロフィーを叶え得る陣容ではあると思うが、その一方で、崩壊リスクを少なからずはらんでいるとも感じる。その一方で、若手、中堅の底上げに成功できれば、さらなる飛躍も見込み得るが。

 ACLは、8強以上は絶対に叶えて欲しい。Jの優勝争いも充分に可能ではあるだろう。しかし、ACLの16強敗退、あるいは、Jでの勝ち点50台前半での失速も、充分に起こり得る。」

 

 

 では、柏の考察です。

 

 

 (図解4)愛球人が考える、2012年柏理想布陣。

 システム(4-4-2)

 監督(ネルシーニョ)

 

             リカルド・ロボ          工藤

            (北島、林)           (田中順)

 J・ワグネル                                 レアンドロ

(澤)                                      (水野)

             茨田               大谷

            (栗澤)             (安英学)

 橋本和         近藤               増嶋         酒井宏

(中島)        (渡部博)            (那須)       (藤田優)

                     菅野

                    (桐畑)

 

 

 (図解4B)愛球人が考える、2012年柏の持ち味と不安要素。

 

 [持ち味]

 (1)世代バランス、ポジションバランスが総じて整っている。ターンオーバーの機能性もそれなりに見込み得る。

 (2)昨季のJ優勝での「自信」。クラブW杯をも経験して「勝利のメンタリティー」を身に付けつつあること。

 (3)「絶対的10番」である、レアンドロの存在。

 (4)指揮官のチームマネジメントの巧みさ。そして、伝統的に勢いに乗りやすいチームであること(石崎政権時代からの傾向として)。

 

[不安要素]

 (1)ACLという未知なるステージ。独特の空気への免疫をどれほど身に付けられるか(過密日程への対応能力をも含めて)。

 (2)レアンドロ、J・ワグネルへの依存度の大きさ(特に前者)。現に昨季も、特にレアンドロ不在時は、勝点ペースを極端に落とした訳ではないとはいえ、内容的な減退傾向が否めなかった。というか、そもそも試合の主導権を必ずしも掌握できている訳ではない。

 (3)複数の布陣を巧みに使い分ける覚悟ができているか。例えばCBには有能な選手を4人擁する(安英学もCBに対応可能)。あるいは攻撃陣の個人能力もそれなりに高い。その意味で、例えば、3バックや3トップとの併用も大いにあってよいと思うのだが。

 (4)恐らく五輪で酒井宏が抜ける可能性が大きい(あるいは茨田、工藤も可能性があるが)。その際、右SBをどのように編成するのか。布陣変更で対応するのも一案かもしれないが。

 

 

 個人的に、今季の柏については、下記のことを抱いております。

 

 「ACLトロフィーを狙い得る可能性は起こり得る。ただ、未知なるステージであることや、特定選手への依存度の大きさをも考慮すると、ACL8強が一つの目安になるか。また、特に序盤戦の過密日程や五輪開催時の対応等を考慮すると、JではACL出場権は充分あり得ると思うが、勝ち点50台半ばくらいもあり得る。」

 

 

 昨季の柏のJ1優勝は、素直に称賛に値すると思います。

 はじめは、07年、08年と同じ道を歩むだろう、と正直思っていました。

 ですが、昨季の柏は、あのときに比べて、「選手層の向上」「駆け引きの向上」「交代策の選択肢の向上(指揮官のある種のマジック)」という向上点を感じました(ある種家庭的な鉄の結束は、石崎政権時代にも感じていたが、より一層強まっている感じ。特に、北島、大谷、近藤の存在は大きな強みといえる。GK菅野も、もっと高く評価されてよいかと)。

 

 ただ、下記のことも、正直感じているんですよ。

 「良くも悪くも、レアンドロ、J・ワグネルへの依存度が大きい。」

 

 確かに、個人能力で「違い」を生み出せる存在を2人擁することは、大きな強みであると思います。2人それぞれに「ダブルチーム(1対2)」を仕掛けようとすると、それだけで守備に4人を割くことになる(現実的には厳しい。故にそれだけで相手の守備組織を崩し得る要素になり得る)。

 ただ、こうも感じる訳です。

 

 「サッカーはシュートゲームである。点を獲らなければ勝てない。その意味で、FWの重要性こそ、もっと認識されてしかるべきではないか。」

 

 だからこそ、リカルド・ロボを獲得したと思うのですが、正直、ロボには、ある種の疑問を持っています。

 確かに有能な選手とは思うのですが、「ACLレベル」かといわれると、自分の中では、「?」なんですよ。

 得点への「嗅覚」は卓越していると感じる。前線からの守備意識、周りを活かす姿勢も特筆でしょう。ただ、良くも悪くも、大黒(横浜FM)のような、「2トップタイプ」という、ある種不器用な感じを覚えるのです。

 

 自分が柏のGMならば。ラファエル(大宮)の獲得に動きます。

 ラファエルは、得点数は、もっといける選手だろう、と思いますが、数字に示される以上に、いくつもの特筆できる能力の持ち主である、と考えるからです。

 

 (1)いわゆるFWならば、どのような役割でも、どのような前線の枚数でも対応できるから。

 (2)前線からの守備意識、足下での創造性、空中戦での強さ。

 (3)大一番になるほど能力を発揮する。メンタルの強さを感じる。

 

 まあ、尤も、個人的には、ラファエルが自ら大宮を去るとは(少なくとも現時点では)想像できないですし、水面下で打診して断られたのかもしれませんが、もしもラファエル獲得に成功できていれば、「存在自体で違いを生み出せる」選手を3人も擁し得ることで、相手の守備陣を精神的に圧倒できてしまう、その意味で、ACLトロフィーも、Jでの優勝争いの軸としても、強く推せたのに、という感じではあるのです。

 

 とはいえ、ロボもそれなりに有能な選手ではありますし、特にいわゆる万能型、あるいは裏へのとびだしに優れる選手(特に工藤、田中順)と組ませると、より持っている能力が引き出されるように思う訳です。

 そして、工藤、茨田という「伸びしろの大きい選手」の存在も、大きな強みと思う訳です。特に茨田は、「日本版X・アロンソ」になり得るパスセンスやプレービジョンの持ち主と、高く期待しています。

 

 CB陣の分厚さも、強みと思います。那須がクローズアップされがちですが、個人的には渡部も、レギュラークラスに充分なり得ると思っているんですよ。昨季、栃木でDFの軸としてプレーしたことで、試合ごとにメンタルの強さを身に付けたと感じますから。

 右SBで、酒井宏が不在時にどうするかが不安要素ではあるのですが、例えば、3バックにして、右から増嶋、近藤、那須(あるいは渡部)にして、右WBに水野、左WBにJ・ワグネルにする方法で、充分対応可能だろう、と思っています。

 

 しかし、ACLは、柏にとって、未知なるステージです。独特の空気へのプレッシャーに対する強い精神力を持ち続けられるのか。

 そして、試合運びにおいて、「アクションスタイル」への志向をより強めることも、求められるでしょう。気がかりなこととして、やや受身的な傾向を感じるものですから(逆にいえば、能動的な試合運び、つまり、ボールを大切にするサッカーを具現化できれば、たとえレアンドロが不在になっても、それなりにダメージを軽減できるはずと信じています)。

 

 選手層が分厚いので、大崩れの心配は、さほどないかなとは思います。

 ですが、ACLでも、J1でも、尻上がり的に調子を上げていき、それでどこまでいけるか、という感じであるのでは、と自分は考える訳です。

 尤も、自分は、ACLでは、8強あたりに落ち着くのでは、と思っていますが、それをプラスの意味で裏切って欲しい、と強く思う次第です。

 

 

 ACL出場組、ということで、FC東京についても、少しだけ言及します。

 (ただし、布陣図は示しませんので、申し訳なく思いますが。)

 

 個人的には、FC東京は、面白い存在とは思いますが、特に守備陣の層が薄い感じがある(ポジションバランスがあまり良くないとも)。

 正直、ACLでは、8強に到達して欲しいが、16強敗退も充分あり得るかな、と。

 Jでは、勝点50台の前半から半ばかな、と思っております。

 

 その意味でも、くすぶっている若手、中堅の底上げなくして、飛躍は厳しいと思うんですよね、

 だからこそ願うのが、「米本の復調」と「千真が特に精神面で一皮むけること」です。

 特に千真は、得点の引き出しならば、日本人FWでは最高レベル、と自分は高く評価しているんですよね。だからこそ千真は、「自信を取り戻すこと」。ひとえにこれであると思うのです。

 盟友である平山の存在は、大きな強みであると思いますし、ルーカス(平山)との2トップの一角として、輝きを放って欲しい、と強く希求する次第です。

 

 

 という訳で、長い文章になりますので、続きを(その3)にて記します。

 何卒、最後まで御拝読して頂けると、とても有難く思います。

 

 よろしく御願い申し上げます。