「2012年J1序盤戦、ガンバ大阪の崩壊及び再建における一考察(その4)。」

 こんにちは。愛球人と申します。

 

 「愛球人ホームページ。」、第13回のブログエントリーの論題は、「2012年J1序盤戦、ガンバ大阪の崩壊及び再建における一考察。」です。

 

 実質的には、ブログエントリーの本論の12回目になります。そして、サッカーブログエントリーの4回目になります。

 今回は、掲示版とのコラボエントリーの3回目、という位置付けです。今回は、「議論するエントリー」と「感じることを伝えながら読者と意見交換をもしたいエントリー」の中間型という位置付けになるかなと思います。

 今回は、とても長い文章になるので、(その1)(その2)(その3)(その4)に分割して執筆させて頂きます。

 

 ブログ本体については、コメント欄は設けません。その一方で、読者との議論、意見交換的な意味付けとして、掲示板にてコメント欄を設けさせて頂く感じです。

 私のHPにおけるブログは、過激な内容がどうしても多くなることかと思いますが、今回は、とりわけ過激になってしまうかな、と正直感じております。読者の中には、私の考えに共感できない、と考える人間も少なからずいるかなと思いますが、こういう考えもあるんだ、と解釈して御拝読して頂けると、とても有難く思います。

 

 では、(その3)の続きから、考察を始めます。

 恐らく、主観全開になるであろうことを御理解頂けますと、とても有難く思います。

 

 

 (その4)では、自分なりの「4つの処方箋の選択肢」を、示してみたいと思います。

 できれば、(その3)の(図解11)にて示した、「現有戦力の望ましい起用法」を併せて参照して頂けると、とても有難く思います。

 

 

 (図解12)2012年G大阪理想布陣(その1)。

 (「西野スタイル」の「深化的継承」を追い求めるならば。)

 システム(4-4-1-1)

 監督(松波正信)

 

                              ラフィーニャ

                             (川西、佐藤晃)

             李昇烈

            (星原、阿部浩)

      阿部浩                                 倉田

     (二川、倉田)                         (寺田紳、武井)

             遠藤               内田達

            (内田達、倉田)         (武井、丹羽)

 藤春          今野               丹羽          加地

(沼田、横谷)     (内田達、中澤聡)        (金正也)    (横谷、武井)

                     木村敦

                    (藤ヶ谷)

 

 

 (図解12)のイメージは、浦和がフィンケ政権時代にしばしば用いられた、「4-4-1-1」です。

 この布陣の特徴は、2列目のMFを左右非対称型にすることにより、中央でもサイドでも多様な崩しの引き出しを具現化し得る、そしてトライアングルを駆使する流動的な攻撃を可能にする特性があります。

 実際、浦和は、例えば10年天皇杯準々決勝でのG大阪戦でこの布陣を採用しました(結果はG大阪が勝ったが)。

 

 「西野スタイルの深化的継承」は、「4-4-1-1」がベストである、と自分は考える訳ですが、この鍵は、上記の布陣の特性である、各ポジションの明確なタスクであるように思うのです。

 

 

 (図解13)図解12における各ポジションの主たるタスク。

 

 「(1)CF(裏への飛び出し、足下でのポストプレー、前へ向ける屈強さ、前線からの守備意識、攻守両面での献身性と思い切り。故に最適任はラフィーニャ。裏への動きを得意とする川西も面白い。)

 (2)SS(最大限の戦術的自由、攻撃における流動的な動き。創造性、仕掛け、シュート意識の兼備が求められる。イメージ的には「デルピエロ的スタイル」。浦和では達也がこの役割を担っていた。最適任は李昇烈。李昇烈をCFに回して、2トップの一角として星原、阿部浩を起用するのも一案かもしれない。)

 (3)左MF(OHとSHの資質を50対50で兼備するイメージ。左に張るのではなく、むしろ中央寄りに構える。創造性、仕掛けの兼備が求められる。いわば「トレクアルティスタ的資質」。そして、ピッチ狭しと流動的に動くことも求められる。若手起用に照らして阿部浩を推すが、二川、倉田も対応可能であろう。)

 (4)右MF(右サイドに構えるが、純粋なサイドアタッカーというよりは、トップ下的な資質をも兼備していることが望ましい。つまり、ドリブラー的な資質に最大限の重要性を置きつつも、状況に応じて中央や左へのポジションチェンジを精力的にできる、そして攻守両面での献身性と思い切りの兼備が求められる。最適任は倉田、あるいは寺田紳。献身性重視ならば武井、横谷。スピードスター的な起用として星原、あるいは創造性重視で阿部浩の起用も一案かも。)

 (5)左CH(レジスタ的役割。ブラジルでいう「第2ボランチ」。勿論、最適任は遠藤であるが、遠藤の不在時は、内田達、あるいは倉田の今日も一案かも。)

 (6)右CH(ブラジルでいう「第1ボランチ」。つまり守備重視、あるいは「アンカー的役割」。ボール奪取、運動量、スピード、読みの兼備が望ましい。イメージ的には、デロッシやファン・ボンメル。組み立てや将来性重視で内田達を推すが、運動量やボール奪取ならば武井も適任である。)

 (7)左SB(攻撃型を充てるのが望ましい。左MFが中央寄りに構えるので、左サイドを斬り裂き積極的に仕掛けるプレーが求められる。藤春と沼田を競わせたい。横谷をここで試すのも一案かもしれない。)

 (8)右SB(左SBが攻撃型、右MFがサイド寄りに構えるので、右SBにはバランス型を充てたい。ただし局面に応じて積極的に仕掛けることをも求められるかと。加地が最適任ではあるのだが、世代交代に照らして、武井、横谷をも積極的に起用して欲しい。加地の後継者育成こそ、現在のG大阪の最重要命題と強く考える。)

 (9)左CB(「ラインコントロール」及び「低い位置からの組み立て」を担う「守備の軸」。主たるタスクは「読みを活かすカバーリング」になる。再適任は今野だが、今野不在時は内田達がベスト。組み立てを考慮すれば金正也も一案かも。)

 (10)右CB(左CBは「読み」重視なので、右CBには主として「高さ」「強さ」が求められるかと。その上で、「スピード」「パスカット」を兼備し得ることが望ましい。その意味で、再適任は丹羽と考えるが、金正也も積極的に起用して欲しい。勿論、経験豊富な中澤聡も一案ではある。)」

 

 

 上記はあくまでも私見ですが、よく、GK(藤ヶ谷)の不安的感が指摘されますが。個人的には、ためしに木村敦を積極的に起用して欲しい、とは正直感じます。これまで出場機会に恵まれていませんが、「サッカーに向き合う姿勢」はチームでも人一倍と伺いますし、木村敦を正GKにすれば、チーム全体が「いつもひたむきな彼のためにも」と一丸になり得ると思うので、一つの有益な方法ではないか、と自分は思うのです。

 

 

 で、ここで、何故「4-4-1-1」を、処方箋の再適任布陣と考えるのかといえば、2つの理由があります。

 第一に、現有戦力において最適の布陣と考えるから。

 第二に、「西野スタイルの深化的継承」を最も具現化し得る布陣であるから。

 このことを、強く考える訳です。

 

 尤も、「西野スタイル」を愚直に継承するならば、右MFに武井(昨季に橋本英的な役割を担い結果を出した)、第1CHに内田達が望ましいでしょう。そのように考えると、(図解12)で示した布陣は、「西野スタイル」よりもさらに攻撃的に振る舞う方向性、それが主たる意図である訳です。

 トレクアルティスタ型(二川、阿部浩)、ドリブラー型(倉田、寺田紳)をバランスよく擁しているので、その意味でも、「4-4-1-1」こそ、現有戦力(特に2列目のタレント、そして遠藤)を活かし得て、そして「西野スタイルの深化的継承」を具現化し得る、と強く考える訳です。

 

 というのも、「西野スタイル」では、2列目のMFが、2人とも中央に寄る傾向が少なからずありました。これだと、コンパクトネスを強調することはできますが、ピッチ上に描くデザインはどうしても小さくなる。

 ですが、(図解12)のスタイルならば、2列目のMFのうち1人がサイドに寄ること、2トップの一角が1・5列目に構えて最大限の戦術的自由が付与されること、そして、2トップ及び2列目の選手、つまり4人の攻撃陣が、ピッチ狭しと流動的にポジションチェンジを繰り出すことで、攻守両面における遠藤の負担軽減を具現化し得ることにより、中央からもサイドからも崩しを機能させ得る、「多様な崩しの引き出し」を具現化させることができるように、強く考える訳です。

 

 個人的には、FWの一角には、2トップであれ3トップであれ、日本人FWを起用すべきである、と強く思っています。その意味で、現有戦力で最適任なのは(川西が故障で夏場まで起用できないこともあるが)、星原であるように考える訳です。

 良くも悪くも「スピードスター」であり、本能でプレーする傾向が強いように思いますが、つぼにはまったときの切れ味は目を見張るものがある。ベストの起用法は、3トップの両WGであるように思いますが、2トップの一角でも、例えば、永井謙(名古屋)、大久保(神戸)的な感じでの起用は、充分可能でしょう。

 これまでは、度重なる故障もあり、長く不遇のときを余儀なくされてきましたが、前線からの守備意識も旺盛で、裏への意識もある。今季のプレシーズンでは好調であったこともあり(だから自分は、星原が開幕ベンチ外であったことに、正直少なからず驚きを感じていた)、少なくとも今季は、中長期的ビジョンに照らしても、星原にできるだけプレータイムを付与して然るべきであるように、自分は強く考える訳です。

 

 

 (図解14)2012年G大阪理想布陣(その2)。

 (「3トップ」を基礎とする超攻撃型を志向する場合。)

 システム(4-3-3)

 監督(松波正信)

 

                     ラフィーニャ

                    (川西、佐藤晃)

 李昇烈                                     阿部浩

(星原、寺田紳)                              (倉田、星原)

             遠藤               二川

            (阿部浩、倉田)         (倉田、寺田紳)

                     内田達

                    (武井、丹羽)

 藤春          今野               丹羽          加地

(沼田、横谷)     (内田達、中澤聡)        (金正也)    (武井、横谷)

                     木村敦

                    (藤ヶ谷)

 

 

 (図解14)にて示した、「第2の処方箋」は、「3トップ」を強く志向することを基礎とする、「超攻撃型」を前面に押し出すことをテイストとしております。

 また、遠藤と二川(阿部浩)を2OHとして共存させることを通して、支配力やポゼッションを高めることも、強く志向している要素の一つです。

 あるいは、(図解12)だと、トレクアルティスタ型である二川と阿部浩の同時起用には、相応の工夫が必要になりますが、上記の(図解14)だと、阿部浩はアタッカー的要素を兼備しているので、二川と阿部浩の同時起用を考慮する場合には、有益な方法であるように考えられます。

 

 ここでの最大のポイントは、3トップの人選です。純粋な3トップを志向する場合、CFはラフィーニャ、そして李昇烈は左WGの方が望ましいように思うのです(ドリブルが得意な感じなので、PAにカットインしやすい意味では左に置いた方が活きるかと)。

 つまり、ある種の鍵を握るのは、右WGになる。(図解14)では、阿部浩を置きましたが、誰をここに配するかで、志向する戦術に変化を付け得る意味でも、重要ポジションであるように考える訳です。

 

 第一に、純粋なFWを起用する場合。この場合、星原になります。スピード型、あるいは点取り屋型の要素を強く備えているので、「超攻撃型」を前面に押し出す意味では、うってつけの人選でしょう。

 第二に、ファンタジスタを起用する場合。この場合、阿部浩になります。阿部浩は、本質的にはトレクアルティスタ型であると繰り返し述べてきましたが、SS、あるいはWGの要素をも兼備している。二川のように、純粋に「つくる」に特化しているというよりは、むしろアタッカー色が強いので、上記の(図解14)における右WGは、うってつけのポジションといえるでしょう。

 それに、阿部浩の起用ならば、左の李昇烈がSS型、右の阿部浩がOH型なので、崩しに変化を付け得ることができる。その意味でも、面白い起用になり得ると考える訳です。

 第三に、ドリブラーを起用する場合。この場合、倉田、寺田紳になります。共に、移籍を経験する過程で、攻守両面での献身性と思い切りを兼備し得る選手に成長していますので、ドリブラー型を起用するならば、右の倉田(寺田紳)はぺぺ、左の李昇烈はヴチニッチ的な役割になり、これも攻撃に変化を付ける有益な方法であると考えます。

 

 その意味で、「4-4-1-1」と共に、「4-3-3」も、「G大阪再建の処方箋」の有意義な選択肢になり得ると強く考える訳です。

 

 

 (図解15)2012年G大阪理想布陣(その3)。

 (手持ちの日本人MFを最大限に共存させることを強く志向する場合。)

 システム(4-2-1-3)

 監督(松波正信)

 

 

                     李昇烈

                    (ラフィーニャ、川西)

 阿部浩                                      倉田

(星原、寺田紳)                            (寺田紳、阿部浩)

                     二川

                    (阿部浩、倉田)

             遠藤               内田達

            (内田達、倉田)         (武井、丹羽)

 藤春          今野               丹羽          加地

(沼田、横谷)     (内田達、中澤聡)        (金正也)    (武井、横谷)

                     木村敦

                    (藤ヶ谷)

 

 

 (図解15)にて示した、「第3の処方箋」は、「日本人MFを最大限に共存させる」ことありきの布陣です。

 これは、勿論、現有戦力の持ち味の一つが、MF陣のタレントの豊富さであること、そして、「西野スタイル」の骨格は、「黄金のMF」(遠藤、橋本英、二川、明神)であったことが、大きく影響しています。

 つまり、「西野スタイルの深化的継承」を、「中盤の支配力向上」に求める意味では、(図解15)は、有益な方法であるように、強く考える訳です。

 

 (図解15)では、「4-2-1-3」を示しましたが、これについては、「4-3-3」でもよいと考えております。主たるテイストは、MFのタレント、とりわけ2列目の選手の個性を最大限に生かしそして融合させることを通して、「ガンバスタイルの深化」を具現化させることですから。

 2CHの場合、自分は、レジスタ役に遠藤、アンカー役に内田達が望ましい、と繰り返し述べてきました。この場合、2列目は、二川、阿部浩、倉田、寺田紳の4人の中から3人、ということになる。

 (図解15)では、OHに二川、右に倉田、左に阿部浩としました。2列目の中央は、「つくる」ことに特化する意味では、二川が最適任と考えるからです。

 ただ、世代交代、若手積極起用を最重要視する観点に照らせば、OHに阿部浩、左に倉田、右に寺田紳が望ましいのかな、とも考える訳です。「トレクアルティスタ1枚+ドリブラー2枚」という形になりますから。

 「4-3-3」の場合、2OHを遠藤、二川、アンカーに内田達を想定する訳ですが、この場合、両WGは、左に阿部浩、右に倉田(寺田紳)のイメージです。阿部浩を2OHの一角に入れる場合は、左に倉田、右に寺田紳、でしょうか。

 

 個人的には、WGの一角に星原を入れる方法も、面白いと思うのです。例えば左に入れるならば、OHに阿部浩(二川)、右WGに倉田(寺田紳)とすれば、「スピードスター」「トレクアルティスタ」「ドリブラー」という異なる個性が2列目に並ぶので、それだけ攻撃に変化を付け得るのではないか、と。

 というのも、星原のナチュラルポジションを考えれば、左WGかなと思いますから、それも一案ではないかな、と。ただ、先程から星原について言及するのは、「日本人FW育成なくしてG大阪再建なし」、この観点から推している感じなんですよね。なので、星原をWGで起用する場合は、FW的なタスクを理解させることが肝要かなと考える訳です。

 

 いずれにせよ、G大阪のチームカラーとして、「中盤の支配力」、これは素敵な伝統の一つと思う訳です。ですから、「日本人MFの最大限の共存、融合型」を重視する方向性も、一つの有益な処方箋ではないか、と考える訳です。

 

 

 (図解16)2012年G大阪理想布陣(その4)。

 (遠藤不在時の対処法としての布陣。)

 システム(4-1-3-2)

 監督(松波正信)

 

             李昇烈              星原

            (ラフィーニャ)         (川西、佐藤晃)

 倉田                  阿部浩                 寺田紳

(阿部浩、寺田紳)           (二川、倉田)           (倉田、武井) 

                     内田達

                    (武井、丹羽)

 藤春          今野               丹羽          加地

(沼田、横谷)     (内田達、中澤聡)        (金正也)    (武井、横谷)

                     木村敦

                    (藤ヶ谷)

 

 

 (図解16)にて示した、「第4の処方箋」は、「遠藤不在時の対処法」としての布陣です。

 

 個人的には、遠藤不在時の場合、いずれはレジスタとして、現有戦力ならば内田達にそのような存在に育てることはできないか、ということを、先述しました。

 これは、C大阪が、扇原がレジスタとして成功していることから、着想を得ています。

 というのも、扇原は、もともとはCB、あるいは左SBの選手でした。組み立て能力ならば、ユース自体から特段優れている訳ではなかった。むしろ、人への強さに優れている選手でした。それが今や、レジスタとして高く評価されている。

 で、内田達は、統率力や読みの鋭さが持ち味ですが、低い位置からの組み立ても、水準以上の質の持ち主です。ですから、資質能力的には、内田達はレジスタ的な潜在能力があるように考える訳です。

 

 尤も、できることならば、内田達は、いずれは守備の軸を張り得る存在になれれば、という思いも、正直強くあります。ですが、現実論として、G大阪の守備の軸は、よほどのことがない限り、少なくとも3年スパンで考慮すれば、今野になる(というか、そうできなければ大問題。勿論、今野がそれ相応の「パーソナリティー」の持ち主であることの証明が求められるし、そうであって欲しいと強く願うのだが)。

 アンカー、つまり、「ファン・ボンメル的役割」に内田達を強く推すのは、CBとして培った「読みの鋭さ」「ボール奪取」、そして「低い位置からの組み立て」を兼備し得る、その意味でアンカーに最適任、と考える訳です。そして、遠藤、今野、内田達と、「組み立て役」を3人同時起用できれば、それだけおのずと支配力を向上できる、つまり、G大阪の生命線である「ポゼッション」、つまり「根っこのフィロソフィー」の深化を具現化し得る、という考えからです。

 アンカー役ならば武井も勿論有能ですが、組み立てを重要視する観点から、内田達を推してきた訳です。

 

 で、現有戦力で「遠藤の後継者」になり得るとすれば、実質的に唯一の適任者は、内田達になる、と述べてきました。倉田も可能かもしれませんが、むしろドリブラー的資質として開花した感じですから、レジスタ再転向はむしろ、せっかく開花した持ち味を減退させかねないのではないか、と(そしてチームスタイルをゆがめることになりかねないという意味でも)。

 とはいえ、内田達をレジスタ起用するとなると、どうしてもテイストが、やや守備寄りにシフトする感じが否めない。尤もこれは、攻守のバランスの向上という意味でもあると思う訳ですが。

 「第4の処方箋」として「4-1-3-2」を示したのは、「2CH」あるいは「レジスタ」を置くことに固執すべきではないのではないか、遠藤の代役を探すよりも、手持ちの選手を活かす、そして志向するチームスタイルを貫くことこそが大切ではないか、という考えが強くあります。

 

 

 「布陣は手持ちの選手に応じて決められるべきである。」

 この言葉は、エメ・ジャケ(元フランス代表監督。98年W杯にて、フランス代表を優勝に導く)が、05年の年末に、WSDのインタビューの一節にて述べた言葉です。

 

 自分は、この考えは、一つの真理であると強く思いますし、強く共感できるのです。

 というのも、自分は、「Jの有力クラブ(ACLトロフィーをコンスタントに叶え得るクラブ)たるもの、『自分たちの確固たる揺るぎないサッカースタイルの構築及び具現化』が絶対不可欠である。」という持論を強く抱いております。今回のG大阪の崩壊及び再建における考察のエントリーでも、この考えに基づいて考察を進めてきました。

 

 そしてまた、「選手、布陣、スタイル(戦術)の3つの要素が、それ相応の整合性gとれていることが求められる。」ということも、自分の持論の一つとしてあります。

 ですから、「自分たちの志向するサッカースタイル」と「手持ちの選手の資質能力」が、相応の合致がとれていることが望ましい。

 そして、G大阪の場合、その合致性が、西野朗政権時代はとれていたけど、セホーン政権(というか、今冬の移籍市場による補強戦略の稚拙性によるところが大きいと自分は考えているが)でとれなくなってしまい、故に崩壊した、このように自分は考える訳です。

 ですので、「4つの処方箋」として示した方法論は、いずれの方法論でもよいのですが、「志向するサッカースタイル」と「手持ちの選手」の整合性に照らして可能な処方箋(故に貢献度の高い選手を意識的に何人か構想から外したのはそのためでもある)ということで、自分なりに示した感じです。

 

 

 で、(図解16)ですが、「遠藤不在時の処方箋」としては、「レジスタ役」を置かずに、むしろ「2列目のタレントを最大限に共存させる」ことに比重を置くべきではないか、その方が「アクションスタイル」「支配力向上」「高速ポゼッション」「攻撃の流動性」を具現化し得る、と強く考える訳です。

 そこで考える2列目の組み合わせが、右から3人の配置として、「倉田、二川、阿部浩」または「寺田紳、阿部浩、倉田」という訳です。ここでの主たるキーマンは、2列目の中央、つまり「トレクアルティスタ(OH。10番)」の役割を担う選手、ということです。中長期的ビジョンに照らせば、OHに阿部浩を置き、右の寺田紳、左の倉田と共に、積極的にポジションチェンジしながら、中央からもサイドからも崩していく、というイメージです。

 2トップの一角に星原を置いたのは、FWの一角には絶対に日本人FWを起用すべきである、という考えに根差しております。

 

 ですが、遠藤を起用する場合でも、(図解16)のような「4-1-3-2」は可能である、と考える訳です。いやむしろ、遠藤を最大限に輝かせるからこそ、「4-1-3-2」は有益な方法になり得る、と考える訳です。

 この場合、1CH(アンカー)が、影のキーポジになるように考えられる訳ですが、内田達であれ武井であれ、運動量とスピードを兼備し得る資質の持ち主である。「日本版ヨンアピン」になり得るのではないか、と自分は強く考える訳です(尤も、ヨンアピンは今季は清水でCBを担っていますが)。

 

 

 (図解17)2012年G大阪理想布陣(その5)。

 (図解16を基礎として、遠藤をOHに起用する場合。)

 システム(4-1-3-2)

 監督(松波正信)

 

             李昇烈              星原

            (ラフィーニャ)         (川西、佐藤晃)

 阿部浩                 遠藤                   二川

(二川、倉田)                              (倉田、寺田紳)

                     内田達

                    (武井、丹羽)

 藤春          今野               丹羽          加地

(沼田、横谷)     (内田達、中澤聡)        (金正也)    (武井、横谷)

                     木村敦

                    (藤ヶ谷)

 

 

 つまり、遠藤をOHにすることで、守備負担を最大限に軽減させることができれば、昨年の夏場以来散見される、体力的な衰えを、持ち味の技術と豊富な経験で充分にカバーし切れるはずである、と強く考える訳です。

 で、両WGを、阿部浩、二川という、創造性に優れる選手で固める。その上で、2列目の3人、そして2トップを含める5人が、積極的にポジションチェンジを繰り出して、「流動性&トライアングル」をピッチの要所で繰り出す、それにより「高速ポゼッション」を実現する、というイメージです。

 ハイリスク感は否めませんが、「超攻撃型」を前面に押し出す意味では、とても面白い方法ではないか、と考え、「第5の処方箋」を示してみました。

 

 

 このように、結局、「5つの処方箋の選択肢」を示した訳ですが、自分は、新潟戦では、下記の選手配置が望ましいように、強く考える訳です。

 

 

 (図解18)自分(愛球人)が考える、2012年G大阪、J1第4節新潟戦理想布陣。

 システム(4-4-1-1)

 監督(松波正信)

 

                              ラフィーニャ

 

             李昇烈

 

      阿部浩                                 倉田

 

             遠藤               武井

 

 藤春          今野               丹羽          横谷

 

                     木村敦

 

 (控え[起用時の主たるタスク])

 星原(決定力、スピードの向上。裏への飛び出し、前線からの守備。)

 二川(創造性、ゲームメイク力向上。チームの士気を高める。)

 寺田紳(創造性、仕掛けの向上。攻撃に変化を付ける意図。)

 内田達(攻守のバランスの向上。低い位置からの組み立て。)

 加地(攻守両面におけるサイドの質の向上。チームの士気を高める。)

 金正也(クローザー要員。高さ及び組み立ての強化。)

 藤ヶ谷(第2GK。)

 

 (交代策[一例として])

 (1)「倉田→星原」(「4-3-3」にして、遠藤と阿部浩の2OH。星原は右WGに投入。)

 (2)「阿部浩→二川」(布陣は「4-3-3」のまま。創造性及びチームの士気の向上が意図。)

 (3)「ラフィーニャ→加地」(クローザー要員として。布陣を「4-4-2」にして、横谷を右SHに上げて、加地が右SBに入る。)

 

 

 (図解18)のベースは、(図解12)にあります。

 これまでにも述べたように、貢献度の高い選手を複数人、意識的に外しています。

 「西野スタイルの深化的継承」と「抜本的世代交代」の両立こそ、現在のG大阪の最大の至上命題である、と強く考えるからです。

 

 ですから、二川、加地を外したのは、「育成及び内容に比重を置く」、そして「中長期的視野、特に3年スパンを念頭に置くチーム再建」の明確なメッセージをチーム内外に示すためです。

 特に右SBは、加地の後継者確立は、現在のG大阪における最大の懸案事項であるので、真っ先に手をつけねばなりません。加地には、特に大一番ではまだまだ輝きを放ち続けて欲しいですが、今回は、チームとして右SBにメスを入れることのメッセージが絶対不可欠ではないか、という思いを籠めて、横谷を入れました。

 

 右CHに武井を入れたのは、内田達が故障気味であると伺うから、ということがあります。「チーム再建」の方向性を明確に示す意味では、右CHに内田達、右SBに武井(横谷)を起用できれば、なお望ましかったかなと思いますが。

 右CBの丹羽は、スピード重視の観点からです。

 左SBは、ここでは藤春を起用しましたが、攻撃型SBという意味では、沼田を起用することも、大いにあってよいでしょう。

 

 

 このように、「5つの処方箋の選択肢」を自分なりに示しましたが、根っこの考えは、下記のことです。

 「『抜本的世代交代』及び『西野スタイルの深化的継承』なくして、『G大阪の再建なし』。」

 このことを、自分は強く伝えたかった訳です。

 

 

 このように、辛辣な表現になり、とても申し訳なく思いますが、自分としては、一人の人間、一人の日本サッカーファンとして、G大阪が、いつまでもファンに「強く愛される」存在であり続けて欲しい、と強く願う訳です。今回の考察は、このような思いが、根底として正直強くあります。

 

 

 長文、駄文、とても申し訳ございません。

 未熟な自分でとても申し訳ないですが、今後とも何卒よろしく御願い申し上げます。