「2012年NPBドラフト会議総括、及び、ストーブリーグ補強における一考察(その1。ドラフト会議編)。」

 こんにちは。愛球人と申します。

 

 「愛球人ホームページ。」、第29回のブログエントリーの論題は、「2012年NPBドラフト会議総括、及び、ストーブリーグ補強における一考察。」です。

 

 実質的には、ブログエントリーの本論の28回目になります。そして、NPBブログエントリーの2回目、高校野球ブログエントリーの3回目になります。

 

 では、今回のエントリーにおける考察を始めます。

 

 

 今回のブログエントリーの主題は、「2012年NPB、補強ポイント論を愛球人的に考察する。」が主たるテイストです。

 これを、「ドラフト」「FA、トレード等」の2つの切り口に分けて考える、という感じです。

 ドラフト会議が終わった翌日ですし、それでいて、日本シリーズ前日でもあるので、今日がブログ執筆のベストタイミングかな、という感じですかね。

 

 では、(その1)では、「2012年NPBドラフト会議総括」を、総論、各論(球団別)に分けて考えようと思います。

 

 

 (図解1)2012年NPBドラフト会議総括(総論編その1。全体を振り返って)。

 

 なんといっても、「高校野球のレジェンド[伝説]」である、藤浪晋太郎(大阪桐蔭)が、阪神1位、つまり、「プロでも聖地甲子園のマウンド」、そこで「200勝投手」の大偉業への挑戦、ということで、一野球ファン的には、最高すぎるストーリー(物語)、という感じです。

 

 北條史也(光星学院。阪神2位。小中学生時代からのライバルにして、プロでは仲間)。

 田村龍弘(光星学院。千葉ロッテ3位。小中学生時代からのライバルであり、プロでもライバルに)。

 高橋大樹(龍谷大平安。広島1位。右の強打者で、関西のライバルとしてしのぎを削ってきた)。

 大塚尚仁(九州学院。東北楽天3位。この1年で飛躍を遂げた技巧派左腕で、3年春に藤浪と投げ合った)。

 濱田達郎(愛工大名電。中日2位。左の剛腕で、藤浪と素質では並び称せられる存在)。

 溝脇隼人(九州学院。中日5位。超絶なる美技の遊撃守備が魅力で、3年春に藤浪と直接対決した)。

 

 このように、「藤浪世代」は実に多士済々。「藤浪世代物語」が、美しく開幕、という感じで、一野球ファンとして、一人の人間として、「わくわく感」がたまらない感じです。

 

 全体としては、藤浪、東浜(亜大)、福谷(慶應大)、菅野(東海大)等、主要選手の多くが「意中の球団」に入れた感じで、わりと微笑ましいドラフトになった感じです。

 

 

 (図解2)2012年NPBドラフト会議総括(各論編。球団別)。

 

 (1)横浜(評価A)

 

 1位白崎は、自分ならば三塁手で育てたい。打撃は魅力なので、「右の中長距離砲」として、3番打者で育ってほしい。ただ、辛抱強く遊撃手で育てれば、スケールが大きい感じになり好感でもある。

 2位三嶋は、山口俊への必勝リレーになり得て、リリーフ強化に最適。

 4位赤堀、6位宮崎敏と、右の強打者を2人確保。「右の外野手」が不足であったので、その意味で赤堀はベターな指名。

 ただ、できれば、3位か4位で、即戦力左腕を確保できなかったか。例えば、指名漏れになったが、大城(JX)は、技巧派として魅力的で、左の先発候補となると思うんだけどなあ、と。そこが減点材料。

 ただ、全体としては、指名した6人全員が大学生、社会人で、「即戦力候補」を多く確保できたことが好感。現有戦力的に、投手が不足の印象があるが、思った以上にバランスのとれた指名。「チーム再建」への強い意欲が伝わってきたので高評価。

 

 

 (2)広島(評価C)

 

 指名した5人がオール打者。自分自身、打者及び左腕投手重視のドラフトを好むが、それでもちょっと偏重過ぎないか、と。ここも、はっきり述べるが、何故左腕投手を1枚確保しない、というのが減点材料。

 1位の高橋大は、「右の強打者候補」。ただ、自分ならば、北條の一本釣りに行った。そうすれば、梵、上本崇(3位)とともに、強力な内野陣を形成できて、守備に難のある堂林を左翼手に回せるからである。素材としてはよいが、少し疑問符も抱く指名。

 上本崇は、自分ならば2位で真っ先に確保する。その上で、3位で左腕投手を確保に行く(これもやはり大城になるのだが)。

 4位の下水流[しもずる]は、横浜高校時代から注目していたが、ついにプロが叶っておめでとう、と個人的には感じる。右のバランス型の外野手で、即戦力で使えそうなので好感。

 とはいえ、ぜんたいとしては、やや疑問符を抱く指名で、小粒感が否めない感じでもあった。

 

 

 (3)ヤクルト(評価C)

 

 申し訳ないけど、簡潔に述べれば、「意図が伝わらない」。

 ただ、1位石山、4位江村と、左右の即戦力投手を確保したことは好材料か。

 とはいえ、即戦力打者(特に三塁、外野)が少なくとも1枚は欲しかっただけに、例えば、宮崎敏あたりは、4位か5位あたりで確保して然るべきであったのでは、と。そこが疑問符。

 6位の谷内は楽しみな素材。バランス型の内野手で、三塁手で起用すると、川端、田中浩と堅守の内野陣を築けそう。

 

 

 (4)阪神(評価S)

 

 藤浪1位の時点で、「評価S」である。向こう15年は、「藤浪の時代」として、「チーム再建の軸」を確保できたこと自体に高評価。NBAのサンダー(デュラント)、ウルブズ(ルビオ)のような感じで、自分自身、テレビの前で思わず絶叫でした。

 2位北條で、ますます会心のドラフト。3位田面は、本格派のリリーフ右腕。

 4位に、守備型捕手の小豆畑[あずはた]を確保できて、ほぼ満点(よくをいえば田村が欲しかったが、ロッテ3位まで残っていたこと自体びっくりで、これは贅沢すぎますかね。しかし、小豆畑も、即戦力捕手で、バッテリー強化ができてよかったかな、という感じです)。

 ただ、できれば、左腕投手1枚、即戦力打者1枚も、併せて確保して欲しかった。その意味で、何故、大城(あるいは桜田[ホンダ])、萩原(関学大)を獲りにいかないのか、と(萩原は結局指名漏れ。正直理解に苦しむ)。それが不満ではありますが、それでも、1位藤浪、2位北條、4位小豆畑で、充分満足といえるでしょう。

 

 

 (5)中日(評価S)

 

 1位福谷、2位濱田は、「地元の逸材」で、他球団を全く寄せ付けず鉄板の、理想的展開。

 3位古本も、左の強打者。4位杉山は、捕手で指名のようだが、打撃を活かして一塁手がベターかも。ただ、もともとは捕手なので、早ければ来期後半戦でも、「ポスト谷繁」の「打てる捕手」として育てられれば会心。

 5位溝脇は、遊撃守備はもはや絶品。打撃(木製バット)に慣れれば、「ポスト井端」はもはや当確のようなもの。二塁に堂上直が入り、三塁高橋周になれば、もはや「夢の布陣」。

 地味ながらも、実利的な抜け目ない指名であり、むしろ補強ポイント的には、阪神異常の高評価を与え得る感じ。故にS評価。

 

 

 (6)巨人(評価B)

 

 1位菅野は、「1年越しの悲願」成就で、ほっと一息。

 ただ、2位以下は全体として、「?」のドラフト。まあ、現有戦力で充分いける、ということか。

 とはいえ、5位の坂口は、「右の大砲」として魅力的。尤も、坂口は、パリーグ向きな気がしますが。変化球への対応力が上がれば、5、6番クラスで本塁打を量産し得る逸材。大田もこれが刺激になってくれれば、と。

 

 

 (7)オリックス(評価B)

 

 1位松葉は楽しみな即戦力左腕で、高く評価できる。ただ、個人的には、伏見(3位)を2位で確保して、3位で即戦力打者(特に三塁、外野)を獲りに行って欲しかった。その意味で、何故萩原を獲らない、とがっかりした。

 欲をいえば、もう1枚即戦力左腕が獲れればなおよかったかな、と(大城、江村、桜田のいずれか。あるいは宇田川[三菱自動車岡崎]も含めて)。もう少し「危機意識」を持って欲しかった意味で、物足りなさを感じた。

 伏見の指名は、伊藤光への刺激になって欲しい。「打てる捕手」であり、狙いとしては好感である。

 

 

 (8)千葉ロッテ(評価A)

 

 1位松永、2位川満と、即戦力左腕2枚を確保して、3位田村で「ポスト里崎」を確保、4位加藤翔も、「両打ちの外野手」で、特に堅守強肩が魅力的で(荻野貴の内野手再コンバートか?)、実に高く評価できる。

 ただ、個人的には、川満を1位で確保して、2位で田村、3位で即戦力内野手(ここで高田、松本幸[立教大]、谷内、金子のいずれか)を確保して、それが必要優先順位であったのではないか、と。

 加藤翔の獲得で、外野手の層が分厚くなったが、二遊間にやや不安を残すことになったか。

 田村は、伊東勤新監督のもとで、「打てる捕手」としての「英才教育」で、「日本球界を代表する捕手」に育ってほしい。個人的には、田村は、「捕手として評価する球団」への入団が叶って、よかったのではないかと思う。

 

 

 (9)東北楽天(評価A)

 

 1位森、3位大塚と、将来性豊かな高校生左腕2枚を確保して、「中長期的ビジョン」を感じたことが高評価。

 2位則本も、即戦力リリーフ候補。リリーフは課題であったので、その意味で高く評価できる。

 ただ、4位で下妻と、「地元の逸材」を1枚確保はしたが、自分が東北楽天の指揮官ならば、1位は北條に特攻する。「チームの軸」になり得るのだから。田村の獲得を見送ったのは、嶋という「絶対的正捕手」がいるので、妥当な判断。

 とはいえ、佐藤勇は、地域密着の姿勢からも、左腕投手を充実させる意味からも、獲得に行って欲しかった。そこが心情的にはちょっと残念かな、と。

 ただ、全体としては、ビジョンが伝わってきて、高く評価できる感じではあります。

 

 

 (10)埼玉西武(評価A-)

 

 1位増田は即戦力リリーフ候補。大石とともに、リリーフ強化に向けた貴重な存在になって欲しい(ただ、指揮官が、先発で育てたい、というのに少し不安を抱きますが…)。

 3位金子は、課題の打撃力が向上。走塁は魅力であり、両打ちも板についてきたようで、なかなか楽しみな存在。4位高橋朋も、即戦力リリーフ左腕候補。今季退団した星野の後釜という感じか。

 2位相内、5位佐藤勇は、素材型投手。個人的に、じっくりと、それでいて大きく育ってほしいと強く期待したいです。

 ただ、個人的には、「右の外野手」を獲りに行って欲しかった、と。その意味で、何故、加藤翔を3位で確保しない、と正直がっかりでした。それで、2位で金子を確保して、4位で坂口か宮崎敏を確保(右の強打者獲得)するのがベターであったのではないか、と。

 やや小粒な感じもしますが、素材としては有能な選手が揃っているので、その意味で期待感を持たせる感じではありますが。

 

 

 (11)日本ハム(評価C-)

 

 1位大谷の強行指名。正直、「言葉もない」です。

 全体としては疑問符。3位鍵谷で地元枠、2位森本、4位宇佐美で、「素材型の右の強打者」を確保したことは、一定の評価はできますが。

 ただ、全体としての疑問符感をどうしても抱かざるを得ない感じでした。

 

 

 (12)ソフトバンク(評価S)

 

 1位東浜。相思相愛が叶って、個人的にも「心の拍手」です。

 2位伊藤祐で、即戦力中継ぎ左腕を確保。3位高田は、遊撃守備は絶品ものであり、これも遊撃手を向こう10年くらい務められる感じで、もうこの時点で大拍手ものです。

 4位真砂で、「右の大砲」を確保して、もう会心のドラフト。抜け目ない感じで、「小久保引退後の新時代」の構築は明るいかな、と感じます。

 

 

 (図解3)2012年NPBドラフト会議総括(総論編その2。指名漏れ選手をも含めて)。

 

 最も好感が持てるのが、ソフトバンク、中日。「地元の逸材」を確保して、かつ、補強ポイントも抜け目なく確保。

 阪神は、1位藤浪、2位北條で、大拍手。それ故にS評価としたが、左腕投手を1枚確保して欲しかった意味では若干不満もあり。

 横浜はチーム再建への強い意欲を感じた。千葉ロッテも、若干の不満要素こそあれ、理にかなった指名ではあり、それなりに高く評価できる。

 

 指名漏れ選手では、今夏の選手権大会4強の神原友(東海大甲府)、大学球界有数の左の強打者、萩原圭悟(関学大)、走攻守三拍子そろったバランス型の左の内野手、松本幸一郎(立教大)、等といった感じですかね。

 あと、「打てる捕手」の阿加多直樹(慶應大)の指名漏れも、個人的にはショックでした。「指名されなければ野球をやめる」、と公言していただけに、可哀想な感じで、ある種のむごさを感じたりもします。

 

 

 では、自分が考える理想のドラフト制度を。

 

 逆指名復活が必要かは、正直わかりません。

 ただ、現状の制度は、ある程度の見直しが必要ではないか、とは、正直感じます。

 

 具体的な見直し案は、NBA(米国のバスケットボールリーグ)で採用されている、「ロッタリー制度」です。

 

 つまり、下記のような「ドラフト制度の見直し」を、希望する次第です。

 

 

 (図解4)自分が考える「NPBドラフトにおけるロッタリードラフト制度」への改定案。

 

 (1)CS進出を逃した6球団(セパ共に4位以下の球団)で、「ロッタリー」を採用する。その中で、全体1位~3位までを、「くじ引き」で決めて、4位~6位は、ロッタリーで全体3位以内の指名権を逃した残り3球団の中で、ウェーバー順で決める。

 (2)全体7位~12位(1位指名の残り)は、「ウェーバー」、全体13位~24位(2位指名)は、「逆ウェーバー」、全体25位~36位(3位指名)は「ウェーバー」、以後は、「ウェーバー」、「逆ウェーバー」を繰り返す。

 (3)FA制度の見直し(後述参照)。

 

 

 (図解5)自分が考える「FA制度見直し」への改定案。

 

 (1)海外FA権の条件。

 [1]「1200安打」「240本塁打」「240盗塁」「120勝」「120セーブ」「1200奪三振」のいずれかを達成すること。これに限定する。

 [2]ただし、同一球団に10年以上在籍していれば、「ポスティングシステム」の権利を行使し得るものとする。

 

 (2)国内FA権の条件。

 [1]「制限なしFA」は、「1000安打」「200本塁打」「200盗塁」「100勝」「100セーブ」「1000奪三振」のいずれかを達成すること。あるいは、同一球団に8年以上在籍している(1軍在籍期間だけで)ならば、これも「制限なしFA」の対象とする。

 [2]ドラフトでの入団後3年間は、各球団とも、必ず当該選手を保有するものとする。また同一球団に5年以上在籍している場合(1軍在籍期間だけで)は、「制限付きFA」の対象とする。このとき、他球団との交渉を容認することとするが、当該在籍球団がオファーにマッチすれば残留するものとする。

 [3]「サイン&トレード」の導入。また、長期契約の上限を「5年間」とする。ただし、契約切れの2年前から、「延長契約交渉開始権」を認めることとする。また、2回目のFA権取得は、1回目のFA権行使後から最短で5年後とする。

 [4]各球団共に、春季キャンプ開始前に、当該球団の全所属選手の、残り契約期間を、HPで明示することとする。

 

 

 上記のように、「移籍市場の活性化及び流動化」が、日本球界のさらなるステータス向上のためには、必要であると強く考える訳です。

 

 

 という訳で、長い文章になりますので、続きを(その2)にて記します。

 何卒、最後まで御拝読して頂けると、とても有難く思います。

 

 よろしく御願い申し上げます。