「野球日本代表、2013年春、WBC第4回大会の覇権奪還のために大切なことの一考察(その2。2013年WBCの具体的敗因)。」

 こんにちは。愛球人と申します。

 

 「愛球人ホームページ。」、第38回のブログエントリーの論題は、「野球日本代表、2013年WBCにおける敗因総括分析、及び、今後のWBCの覇権奪還のために大切なことにおける、現時点で感じること。」です。

 

 実質的には、ブログエントリーの本論の37回目になります。そして、NPBブログエントリーの5回目、野球日本代表ブログエントリーの3回目になります。 

 

 では、(その1)の続きから、考察を始めます。

 

 

 (その1)の末文において、自分は、「負けるべくして負けた。」と述べました。

 そりゃあ、勿論、3連覇の実現を、強く信じていました。ですが、その一方で、「これで勝つのは、正直厳しいだろう。」という思いが、最初から最後まで、結局消えなかったことも、率直な思いです。

 

 正直述べれば、「4強」という結果は、「残念だけど、妥当だろう。」というのが、率直な感覚です。

 「選手は持てる全力を尽くした。」と強く抱きますが、それだけではどうしようもできないくらい、根っこの部分で敗因をいくつも抱えてしまっていた、その帰結がプエルトリコ戦で出てしまっただけであって、開幕戦のブラジル戦から、徐々にふつふつと問題がこぼれていき、決壊してしまった、そのような感覚なんですよね、自分的には。

 

 

 では、下記に、「2013年WBC、野球日本代表の総括敗因分析概論。」を、示させて頂きたく思います。

 

 

 (図解3)愛球人が考える、2013年WBC、野球日本代表の総括敗因分析概論。

 

 (1)あらゆる意味で「準備不足」。今回のWBCにおいて、選手会が不参加をちらつかせ続けたこと、中島、球児のMLB挑戦を阻止できなかったこと、過去2大会で確立させたはずの「日本の野球スタイル」の原点を見失ったこと(選手選考、采配、あるいは合宿等の下準備とかをも含めて)。いずれのことも、結局、「日本野球機構(NPB)」の機能不全性に起因する。NPBが、意思統一的な統括機関として機能していれば、入念な準備をして3連覇はできたはず。

 

 (2)MLB組、おかわり(埼玉西武の中村剛のこと)の不在は、およそ想像できたことだし(おかわりの不参加は昨年10月下旬の時点で確定していた)、むしろ、「NPB(国内組)のみで編成できる」ことは、「和が乱れるリスク」を最大限抑止し得る意味でも、起用法で気を遣う必要性がなくなる意味でも、むしろプラスにとらえていた。問題は、「最強NPB選抜」と自信を以て編成できる「28人枠」ではなかった、ある種いびつな選手選考にこそある。「最高の28人」が「最強の28人」とは限らない訳であり、国際試合、短期決戦特有の持ち味を発揮し得る、メンタリティーやタイプ別バランス(勿論これにセイバーメトリクスを加味してであるが)を最大限に考慮した選手選考にすべきではなかったか。そして、「33人」ではなくて、NPBだけでも、40人~50人程度は、代表クラスの能力の持ち主を擁しているのだから、代表候補合宿で、「36人~40人程度」を招集した上で、「28人枠」へと絞り込むべきではなかったか。

 

 (3)「統一球」は「大失敗」であった。まず、明らかに多くの打者が自信を減退させてしまったこと(統一球で成績を伸ばしたのは、中村剛、松田等、ごく一握り。内川等のようなアベレージタイプは、それなりに適応したようにも映らなくもないが)。投手も然りで、「統一球」と「WBC球(国際試合球)」では、球質が異なるのか、明らかに投げにくそうにしていた投手が少なからず散見された(適応したといえるのは、前田健、大隣、杉内、牧田等、必ずしも多くなかった。特に内海は、明らかに適応しきれぬまま終わった感じが否めず、摂津、山口鉄等も、球質の違いにもがいている感じが否めなかったように映る)。今回、打撃陣が総じて不調傾向であったのも、統一球の弊害が少なからずあったように映るし、国内リーグのエンタメ性の減退傾向をも含めて考えると、「統一球」導入自体が、大きく歯車を狂わせたことは否めないのではないか。

 

 

 すなわち、「NPBの機能不全性」「志向する戦術と合致していると思えない選手選考」「打者のみならず、投手の自信をも失わせた統一球」。この3つのせいで負けた、自分はそう考えています。

 勿論、指揮官の采配そのものにも、正直疑問符は少なからずありました。調子のよい投手からつぎ込んでいく投手起用は、「一戦必勝」の精神に照らせば、それは一つの戦術であると思うのですが、その一方で、勝負どころで「特定の投手を引っ張る」傾向も少なからず散見された(2次R台湾戦の8回の田中将然り、準決勝プエルトリコ戦の7回の能見然り)。確かに継投には、あらゆる要素が複雑に交錯しますので、難しい判断を少なからず強いられることが往々にしてあるのですが、正直、「一貫性に乏しい」という感じで苦戦を強いられたことは、否めないと思います。

 

 とはいえ、指揮官の采配だけで負けた、とは正直思えないのです。まあ、「選手選考」の時点で、「選手と戦術が符合し得ない」ことは、およそ想像し得る感じと認めざるを得ない感じでしたから、その意味では、指揮官の責任、といえなくもないのですが。

 ですが、「統一球」は、ボールによって試合をコントロールさせる弊害を生み、特に打撃陣は、スイングが「小さくなってしまった」感じが明らかに伝わりました。フルスイングではなくて大振り。バットを短く構えるのではなくて、小さく振る(現に、意図が伝わらないハーフスイングが少なからず散見された)。

 そして何よりもショックだったのは、「統一球」の弊害が、投手にまで波及してしまっていた、という現実です。特に、内海が適応し切れずにもがく姿は、画面越しに伝わってきて、どうしたんだろう、という思いを、結局最後まで拭えずに終わった感じが否めません。

 

 正直、「統一球」は、一刻も早く、即刻なくして頂いて、「国際試合球」と球質を似せたもの(勿論同室が望ましい訳ですが)に改良すべき、そうでなければ、また4年後も同じことを繰り返しかねない、と強く抱くのです。

 

 勿論、統一球のみならず、「国際試合の特有性」への適応性の問題も、正直あるでしょう。正直、明らかに、力量不足の選手が何人か見受けられましたし(悲しいので、名前は出しませんが)、田中将のように、独特のプレッシャーに押し潰されかかっている選手も、何人かいました(思えばダルビッシュも、いまでこそ世界最高レベルの投手であるが、国際試合では、炎上しているイメージしかない。確かに2009年WBCで「胴上げ投手」になっているけど)。

 国内リーグと国際試合は、「全くの別物」。この認識が、NPB(日本球界)において、どれほど共有されていただろうか、認識が乏しかったのではないか、自分は正直、このような思いを抱くのです。

 

 

 そもそも、「日本代表候補」として発表された「33人」のリストの時点で、国際試合だからこそ必要な選手が(せめて候補合宿には召集すべき、という意味をも含めて)、何人か含まれていませんでした。この、代表候補選手「33人」のリストの時点で、自分は正直、「勝つ気があるのか!?」と正直感じずにはいられませんでした。

 

 というのも、後に詳述しようと思いますが、「国際試合」においては、勿論、外国の打者(投手)と対決する訳ですけど、外国の打者、投手、それぞれ、国ごとにある種の傾向があるのではないか、という感じであるのです。

 特に、最終的には、北中米、あるいは欧州の選手に勝利せねばならない訳であって、北中米や欧州の選手は、やはり、日本や韓国の選手とは、また異なる特徴があるように映る。

 

 勿論、直近のシーズンの成績がよいことに越したことはないのですが、直近のシーズンの成績が、例えベストの成績ではなかったかもしれなくとも、「国際試合だからこそ生きる選手(特に投手)」というのを、何人か組み込んでいくことが、短期決戦を勝ち抜く意味で、大切になってくるように思うのです。

 確かに、(ファンの数だけ理想の28人枠があるといわれますし、確かにそうかなと思いますが、)今回の「28人枠」は、NPB所属の中においては、「最高の28人」を選出したつもりかもしれません(尤も、自分はそうは思いませんが)。ですが、「最強の28人」を選出する意識は、明らかに乏しかった(選手のタイプのバリエーションに乏しかったことが否めない。阿部に、「4番・捕手・主将」の「1人3役」を担わせてしまったことが、その象徴)。

 

 

 それと、「NPBの機能不全性」が、敗因の一つ、と述べました。

 統一球のこと然り、他国の主力選手の情報収集能力が機能していなかったであろうこと然り(少なくとも、相手の主力打者3~4人程度とか、エース級や抑え投手に誰が配されそうとかは、およそ想像し得る感じではと思うし、その選手の特徴のおよその情報収集はできたはず)、中島や球児のMLB流出を阻止できなかったこと然り(確かに本人の権利行使を止めるのは無理があるかもしれないが、「日本野球の誇りのためにお前が絶対に必要だ。今回のWBCで活躍すれば、より魅力的なオファーを勝ち取れる。」等と、説得することはできたはず)。

 そして極め付けが、選手会が「WBC不参加を辞さず」(そもそも、このような考えが平気で出ること自体が、「プロ意識」を疑う。このような、ファンへの「背信行為」を堂々と決行しようとした時点で、「引退勧告」等の強硬手段をとれなかったこと自体、弱腰極まりない)という態度をし続けたことに対して、あたふたし続けたこと。もう、これには、ただ茫然、あきれることのみでした。

 

 何のためのコミッショナー?そして、何のための職員?

 というか、NPBの職員採用は、どうやってなされているのかも、正直気に掛かったりしますが。

 

 

 いや、例えば、中島や球児のMLB流出を阻止できなかったか云々でいえば、阻止して欲しかったから、このようなことに言及している訳ですが、確かに、MLB挑戦を容認しても、それはそれで割り切って(本人の「志」である訳なので)、いないものとして、選手構想を練り上げていけばよい、という感じなのかもしれません。

 ですが、中島は、走攻守三拍子揃う貴重な右の強打者。球児(阪神で長く活躍した藤川のこと)に至っては、もはや日本球界の絶対的守護神です。正直、代表に参加して頂けるに越したことはない。

 それに、「1年だけ我慢してくれ。」とできれば、WBCで、優勝して、個人としても相応のパフォーマンスを披露できれば、現時点よりもさらなる高条件でのオファーを勝ち取れる(レギュラー&複数年契約等)のではないか。自分は正直、この思いが拭えなかったんですよね。

 

 正直、MLB組の参加が叶わないことは、およそ想像できていましたし(特に米国にすれば、日本の優勝を阻止するためには、できることはするだろう、と思っていましたから)、青木は恐らく、本音は参加したかったんだろうなあ、と思いますが(あれは明らかに「圧力」。言葉や振る舞いの端々に、「本当は出たかった。」という未練さが、無意識的に滲み出ていた。そして中島や球児も、恐らくぎりぎりまで、MLB挑戦とWBC出場の両立の可能性を模索していた感じ)、NPB(国内組)の選手のみで、代表を編成できるのは、自分はむしろ、プラスに解釈していました。

 何故ならば、MLB組(つまり、ダルビッシュ、青木、中島、球児)を組み込むと、どうしても、起用法で、MLB組に気を遣うことになりかねない(これほどの実績の選手だから、例え不調でも外せない、みたいな)。そして、MLB組が必要以上にのさばり過ぎて、チームの和が乱れるリスク(例えば、青木だけを呼ぶならば、利他的なメンタリティーの持ち主でもあるので、むしろリーダーシップを発揮して、チームを一つにまとめ得ると思うが)、あるいは、代表候補合宿でMLB組を呼ぶべきか(国内組のみならば、球団相手に気を遣わずに済み、できるだけ早い時期から、候補合宿を決行できて、戦術練習や紅白戦等の実戦形式の練習を多く組み込める)、とかを気にすることになりかねないからです。そうすると、ある種無駄な神経を注ぐことになりかねないのでは、と。

 

 

 いや、MLB組、おかわりを呼べないことは、正直覚悟せねばならなかったこと、ある種分かり切っていたことですから(まあ、中村剛の召集が叶えば、「4版DH」で絶対固定できるので、戦術的にはとても有難い感じであった訳ですが。膝の手術を早めに発表したのは、選手生命にかかわるとの判断で、恐らく苦渋の決断であったのでしょう)、初めから、そのような存在は、「いないもの」とみなして、残ったNPBメンバーで、代表レベルの選手をリストアップして、そこから、個々の選手のタイプ別分析をしつつ、それを踏まえて、過去2大会でとったスタイルや、対戦相手の主力の予想顔触れ、開催球場の特性をも考慮しながら、どのような戦術、選手編成をしようかを、組み立てていくべきであったのではないか、と。

 

 

 たとえ「統一球」という、極悪といってもよい、マイナス要素を抱えていようとも、正直、「最強NPB選抜」の編成が叶えば、そのような努力をちゃんとできていれば、悲願の3連覇、少なくとも、決勝進出は叶ったはずである、自分は、そのように、強く抱くのです。

 つまり、「最強の28人」を編成する努力ができなかった、だから負けた、故に、本大会に入る以前、すなわち、宮崎合宿の時点で、勝負はついてしまっていたのかもしれない、自分は、そのように映っているのです。

 

 

 では、(その3)において、「野球日本代表は、どのような選手選考をすれば、2013年WBCで3連覇を叶えることができたのであろうか。」ということの具体的考察を、させて頂きたく思います。

 

 

 という訳で、長い文章になりますので、続きを(その3)にて記します。

 何卒、最後まで御拝読して頂けると、とても有難く思います。

 

 よろしく御願い申し上げます。