「野球日本代表、2013年春、WBC第4回大会の覇権奪還のために大切なことの一考察(その4。自分が考える、『最強NPB選抜28人枠』)。」

 こんにちは。愛球人と申します。

 

 「愛球人ホームページ。」、第38回のブログエントリーの論題は、「野球日本代表、2013年WBCにおける敗因総括分析、及び、今後のWBCの覇権奪還のために大切なことにおける、現時点で感じること。」です。

 

 実質的には、ブログエントリーの本論の37回目になります。そして、NPBブログエントリーの5回目、野球日本代表ブログエントリーの3回目になります。 

 

 では、(その3)の続きから、考察を始めます。

 

 

 この、(その4)の主たるテーマは、「2013年WBCにおいて、自分が選出すべきであったと考える、『最強NPB選抜』としての『28人枠』」についての考察です。

 どのような構想を練り上げるか、というところから組み込むので、長い文章になるかもしれないことを、御許し下さい。

 

 

 まず、「最強NPB選抜」を編成するにあたり、重要なのは、「軸」となる「骨格」からとなります。

 ここで、今回の野球日本代表を編成するにあたり、留意せねばならないことを、下記に示そうと思います。

 

 

 (図解9)愛球人が考える、2013年WBC野球日本代表の「28人枠」を編成するにあたり、留意すべきと考えること。

 

 (1)外的要因(国際試合を戦い抜くにあたって重要な要素)。

 [1]外国人は、総じてスイングの大きい選手が多い傾向にある。その場合、直球でぐいぐい押すよりも、多彩な球種や、手元で曲がる変化球、緩急による落差等で、的を絞らせないタイプや、凡打の山を築くタイプ、つまり「技巧派投手」こそが重宝され得る。

 [2]外国人投手の場合、総じて球速が速い。故に、パワー勝負になるとどうしても分が悪い。しかしこのタイプの場合、どうしてもクイックモーションが大きかったり、小回りが利きにくかったりするので、パワータイプの強打者も勿論重要だが、むしろ、走攻守のバランスに優れる、及び、快足打者の方が重要になってくる。

 [3]総じて広い球場が用いられやすく、かつ、福岡、東京、サンフランシスコが会場とわかっているのだから、おのずと広い守備範囲が求められる。となると、守備に卓越する選手を多く配し得る陣容の構築が求められてくる。

 [4]事実上「一戦必勝」が求められるので、プレッシャーがとてつもない。故に、強靭な「メンタリティー」が求められてくる。そして、一瞬の判断が命運を分けるので、「野球IQ」も重要になってくる。勿論、「セイバーメトリクス」がよいに越したことはないが、それ以上に、「野球IQ」「メンタリティー」の持ち主でできるだけ固めることが望ましい。

 [5]個々の能力で他国を圧倒できる訳ではない。大切なのは、「チーム力」であって、その意味で、「利他的な精神」、つまり、必要に応じて、下位打線(8、9番)、代打、代走、中継ぎ(ワンポイントを含めて)での起用も喜んで引き受ける器量の持ち主を招集することが必要。たとえタイトルホルダーであろうとも、「利他的な精神」に乏しければ、基本的に招集するべきではない。

 

 (2)内的要因(日本野球を遂行し得るにあたって大切な要素)。

 [6]打撃陣において、大砲が少ない(阿部、中田翔、T岡田の3人くらい)。故にロースコア勝負を覚悟せねばならない。故に、同じ器量であれば、「快足」「堅守」「複数ポジションに対応できる」選手を優先すべき。

 [7]打撃陣は、ある程度レギュラーの骨格を決めた上で、控えの可能性がある選手は、「代打要員」「代走、守備要員」を厭わない、利他的な選手を選出することが望ましい。

 [8]投手陣は、細かい継投を駆使する必要がある。また、局面に応じた系統の選択肢の適格性が求められる。故に、投手を多めに選出することを厭うべきではない。同じ器量であれば、先発ならば、第2先発や中継ぎ起用を厭わないメンタリティーの持ち主か、緩急やコーナーワーク、制球力の良さ、救援ならば、抑え経験者(できれば直近のシーズンに抑えを務めている。目安として20セーブ以上)を招集する。そして、フィールディング能力も重要視する(投手は9人目の野手である、という考えに基づいて)。

 [9]戦い方の幅をできるだけ担保するため、タイプ別バランスに最大限に配慮する。似たようなタイプにあまり偏らないように留意する(長打タイプの打者が必要な局面、剛球タイプの投手が必要な局面も、現実論として存在し得ると考えられるため)。

 [10]「心を一つにする」ことなくして、「一戦必勝」はあり得ない。故に、「精神的支柱」「盛り上げ役」になり得るかどうかも、併せて留意する。また、大舞台に物怖じしないメンタリティー(特に甲子園経験者や、アマ時代の国際大会経験者)の持ち主であるか否かも、最大限に考慮する必要があると考える。

 

 

 このように、単純に「選手としての器量」のみで測れる訳ではない、と思うんですよね。

 結局、今回の代表の何が問題であったかといえば、「最高の28人」の編成ばかりに目が行ってしまったのではないか、と。投手における本格派タイプ、打者におけるアベレージタイプに、やや極端に偏ってしまったのが、その象徴です。

 

 確かに、何人か、重要なキーマンになり得るタイプの故障者が発生して、構想に組み込めなかったことは、誤算であったかもしれません。

 

 恐らく、国内組では最高の右の大砲、中村剛也(埼玉西武。昨季27本塁打で本塁打王。過去5年間で4回の本塁打王に輝く)。

 昨季セリーグ盗塁王、大島洋平(中日。昨季32盗塁。短期決戦で無類の集中力を発揮するところも持ち味)。

 多彩な球種と精密機械の如き制球力を誇る、金子千尋(オリックス。昨季は故障でほとんどを棒に振った[4勝3敗。内容的にはほぼ全球とカウントしてもやむなしで、これでは代表合宿にさえ残念ながら呼べない])。

 

 おかわりや大島は勿論ですが、投手陣において、最も痛手であったのが、自分的には、金子千のコンディション不良です。制球力に卓越しており(現にキャリアを通して、与死四球が50を超えたシーズンがない)、縦に割れるカーブをはじめとする多彩な球種を、高いレベルで投げ分けられる。国際試合で、特にリリーフとして、フル回転させられるに値するタイプの投手です。

 ここで金子千がいてくれたら。特に、ピンチの局面、流れを変えたい、相手の息の根を止めたいときこそ、金子千の独特の多彩な球種と精密機械の如き緩急やコーナーワークが真価を発揮し得るはずなのに、と。これは不運であったかもしれません。

 

 ですが、金子千のように、「組み込めなかった」選手の一方で、「組み込まなかった」からあとあとで苦しむ要員になった投手も、少なくとも2人います。

 

 その1人目は、石川雅規(ヤクルト)です。国際試合において、彼ほどリリーフにいてくれたら有難い、という投手は、自分の中ではそうはいません。

 ほとんどの球種を一通り、高いレベルで投げ分けられる。緩急に優れ(直球とスローカーブ、シンカーの急速さは、恐らく50km近くある)、卓越する制球力を誇る(現にキャリアを通して、与死四球が50を超えたシーズンがない)。

 強打者に対してこそより真価を発揮し(現に巨人戦の相性がよい)、内角を容赦なく突く精神力を持ち、フィールディングもとてもうまい(現にゴールデングラブ受賞経験あり)。昨季成績は8勝11敗と、確かにいま一つだったかもしれませんが、安定感に優れ(キャリア11年のうち、10勝到達が9回)、それに独特の小さな体格(公称167cm)。相手打者は、それこそ面食らうでしょう。

 多彩な球種と精密機械の如き制球力、強靭な精神力で、相手に的を絞らせない。特に、そのスローカーブやシンカーを見せられた後に、本格派投手に継投されると、相手打者はひとたまりもないと思われます。人望もあるので、「投手陣の精神的支柱」としても、うってつけであると思うんですけどねえ、みたいな。

 

 2人目は、岸孝之(埼玉西武)。理由は、縦に大きく割れるカーブと、手元で鋭く曲がる高速スライダーという、2つの鋭い変化球を持つからです。この2つそれぞれ、国際試合において、強打者が特に嫌がる球ですから。

 確かに、09年WBCの際、候補合宿において、WBC球に適応できなかった、といわれています。ですが、4年が経って、相応に成長できているはずですし、特に縦に割れるカーブと直球のコンビネーションは、相手打者を幻惑させるには充分と思います。

 

 

 なんだか、愚痴めいてしまったかもしれませんが、では、自分ならば、どのように、「最強NPB選抜28人枠」を編成したであろうか、その構想を示そうと思います。

 

 

 (図解10)自分(愛球人)が指揮官ならば、ということにおいての、「2013年WBC野球日本代表28人枠」の構想。

 

 (1)骨格編。

 [1]「先発三本柱」「抑え」をそれぞれ確定させる。まず、先発においては、「右のエース」として田中将(東北楽天)、「左のエース」として内海(巨人)。「第3の先発」としては、前田健(広島)を充てる。これで「先発三本柱」は確定。

 [2]「抑え」については、球児のMLB挑戦を踏まえれば、国内組の抑えで、「スペシャルな存在」は見当たらないので、代表でのリリーフ経験が豊富で、多彩な球種、卓越する制球力、強靭な精神力を誇る、杉内(巨人)を充てる。抑えを杉内にするのは、その豊富な経験と大舞台での強さから、「彼につないだら絶対に何とかしてくれる。」と強く信頼できる「支え」を生み出せて、チームの結束力や方向性を構築し得る、大きな存在になり得るからである。これは勿論、杉内が「投手陣の精神的支柱」になり得る存在だから、ということもある。

 [3]打撃陣については、「正捕手」「4番」をまず確定させる。「正捕手」については、近年の実績を考慮すれば、阿部(巨人)で鉄板。年齢構成や過去の実績等に照らしても、「主将」も阿部が最善策と考える(内川も有力候補だが、経験の面で阿部が上回ると考える)。ただし、「正捕手」「主将」の2役を務めるので、「4番」は別に置く。

 となると、「4番」は、貴重な右の大砲である中田翔(日本ハム)で鉄板(中村剛の故障欠場確定ならばなおさら)。経験不足はやや不安かもしれないが、昨季、所属チームで全試合4番であること、高校時代から大舞台で強いこと、豪胆ともいえる精神力、勝負強さ(昨季の勝利打点数がパリーグ1位)をも考慮すれば、中田翔を「4版DH」で固定となる(DH固定は、守備負担を免除することで、「代表の4番」としての打撃に専念させるため)。

 [4]「4番DH中田翔」を踏まえて、「3番」「5番」を次いで確定させる。「5番」については、阿部で確定させる(中田翔の直後に、同等クラスの大砲を置くことが効果的との考えから)。「3番」については、近年の安定したアベレージ(5年連続打率3割到達)や、大舞台での豊富な経験と勝負強さを買って、内川(ソフトバンク)で確定。

 ここまでで、投手4人、打者3人、合計7人の「軸」が確定となる。

 

 (2)肉付け編(その1。軸に次ぐ重要な存在として)。

 [5]打撃陣において、大砲的な存在が少ないことを考慮して、ロースコア勝負に活路を求めざるを得ないことから、投手陣を、とりわけきめ細かい継投を可能にし得るように配慮する選手構成にして、投手14人、捕手3人、内外野11人(レギュラー8人のため、控え3人)の構成にする。

 [6]投手陣においては、先発3人、抑え1人が固定のため、残り10人のうち、第2先発3人、中継ぎ7人の構成とする。特に中継ぎ7人が、今回の代表の生命線になると思われるため、多様なタイプのバリエーション(本格派、技巧派、左か右か、そして、所属チームで先発か抑えかをも含めた、多様なタイプをバランスよく配するように配慮する)を担保できるように編成する。

 [7]打撃陣、特に3人の控えについては、「代打要員」「内外野マルチロール要員」を1人ずつ置き、残り1人は、「代走、守備固めを軸に、代打にも対応可能」な選手を配するようにする。また、ベンチメンバーの構成は、大舞台でのメンタリティーに加えて、特に主軸の選手が気持ち良くプレーできるように配慮する人戦にすることをも意識する。

 [8]第2、第3捕手の人選も重要になる。第2捕手については、中堅、若手の捕手で、かつ、特に配球術に優れ、肩も水準以上であることが求められる。第3捕手については、「精神的支柱」として、「副キャプテン(野手部門)」の役割をも担い得ることが求められる。いずれも、「控え選手の気持ちがわかる」選手を充てることが重要。なお、「副キャプテン(投手部門)」は、抑えをも担う杉内を充てることとする。

 

 (3)肉付け編(その2。投手編。中継ぎ陣に誰を配するか)。

 [9]ここから具体的人選。まず、投手については、「第2先発」の人選から入る。奪三振王を獲得した左腕の能見(阪神)をまず充てて、次いで、4年連続10勝到達で、大舞台に強い左腕の成瀬(千葉ロッテ。08年北京五輪代表、横浜高校出身)を充てる。第2先発の3人目は、縦に大きく割れるカーブを擁し、大舞台に強い岸(埼玉西武)を充てる(これについては、宮城県出身なので、「復興への思い」を体現する意味をも兼ねている。つまり、見ている人間に勇気を与える意図も)。これにより、投手は、残るは中継ぎ7人の人選になる。

 [10]中継ぎ7人の人選。まず、「セットアッパー役」として、先発から抑えまで高次元で対応できて、昨季30Sをあげた涌井(埼玉西武)を充てる。これについては、08年五輪、09年WBC、横浜高校時代の甲子園経験をも含めた「大舞台での豊富な経験」を考慮している。次いで、国際試合では、特徴ある投球スタイルを持つ投手がより光り輝き得る傾向にあるとの考えから、サブマリン投法の牧田(埼玉西武)、多彩な球種を擁する技巧派左腕の石川(ヤクルト)を選出する。ここまでで、中継ぎの残る枠は「4」となる。

 [11]中継ぎの残る枠、「4」の人選。まず、「抑え経験者」をできるだけ配する必要性から(ピンチで強いから、抑え投手は中継ぎを経験することが多いから、精神力の強さ等)、山口俊(横浜。昨季22S、3年連続20S到達、4年連続50試合登板)、森福(ソフトバンク。昨季17S、2年連続60試合登板。「左のワンポイント」としての期待をも含んでいる)を充てる。次いで、思い切りのよい投球が魅力の澤村(巨人。2年連続10勝到達だが、その剛球は、短いイニングでこそより輝き得るとの判断から)を選出。そしてラスト1枠は、抑え経験者であり、精神的タフネス性、あるいは切れ味鋭い変化球を考慮して、青山(東北楽天。昨季22S、2年連続50試合登板、先発から抑えまであらゆる役割を一通り経験していること)を選出。これについては、手元で曲がるスライダーやシュートを買ってのこと、あらゆる役割をこなせる利他的メンタリティーは勿論、東北にゆかりがある(八戸大→東北楽天)ことからの、「復興への思い」の意味合いも考慮している。

 [12]この、中継ぎについては、涌井をセットアッパーというのがベースだが、局面に応じて投手起用を巧みに使い分けることが肝要。強打者(特にパワータイプ)を封じたい場合は牧田、石川を、「左のワンポイント」を起用したい局面では森福を、技巧派投手でつくった流れをより引き寄せるための本格派としてでは山口俊、澤村を、火消し役(同点、ビハインド時主体に)が欲しいとき、あるいはよくない流れを変えたい局面には青山を、という感じで使い分ける。ここまでで、投手の陣容は確定。

 

 (4)肉付け編(その3。打者編。主軸に準ずる存在に誰を配するか)。

 [13]「3番」「4番」「5番」が確定したので、次いで着手すべきは「1番」「2番」。これはつまり、「快足選手」になる(大砲が事実上、4番中田翔、5番阿部のみなので、なおさら)。ここで、「1番中堅手」に聖澤(東北楽天。2年連続50盗塁到達、昨季54盗塁で盗塁王)、「2番二塁手」に本多(ソフトバンク。かつて盗塁王2回、4年連続30盗塁到達、昨季34盗塁)を充てる。

 [14]次いで着手すべきは、「6~9番」である。守備位置的には、一塁手、三塁手、遊撃手、左翼手または右翼手(どちらかに内川が入るので、その一方)となる。ここでまず、「9番」には、1、2番と遜色ない快足が求められることから、長野を「9番右翼手」に充てる(巨人。昨季打率.301、20盗塁。守備範囲が広い)。これにより、中堅、右翼の守備範囲が担保されるので、内川を「3番左翼手」にできる。遊撃手は、走攻守三拍子揃う坂本(巨人。昨季打率.311、16盗塁)を充てる。打順的には、気楽にのびのびと打てる意味をも籠めて、「7番遊撃手」。

 [15]残るは、打順的には「6番」「8番」。守備位置的には「一塁手」「三塁手」。内野守備を可能なだけ鉄壁にすることが求められるので(坂本はやや送球にむらがあるので、三塁手はなおさら守備重視にする必要。一塁手も然り)、まず、三塁手には鳥谷(阪神)を充てる。故に、「8番三塁手」に鳥谷(8年連続全試合出場の超タフネス)。残る「6番一塁手」は、走攻守三拍子揃う松田(ソフトバンク。昨季打率.300、16盗塁。11年に25本塁打、27盗塁を記録している)を充てる。これでレギュラーは確定。

 [16]残るは、まずは控え打者の「3」の人選。まず、「代打要員」には、できれば流れを変える意味で、大砲タイプを充てたい。故に、T岡田(オリックス)を充てる(これは勿論、純粋な戦力的意味に加えて、中田翔への刺激や、今後への布石の意図も含んでいる)。次いで、「内外野マルチロール要員」として、浅村(埼玉西武)を充てる(主として内野であるが、一塁手を高次元で対応できるので、その場合、松田を三塁手に回せるメリットがある。また、大阪桐蔭高校で中田翔の一年後輩であることや、高校時代の優勝経験[08年夏]をはじめとする、大舞台での精神力、盛り上げ役の意図もある)。ラストの枠には、「代走、外野守備要員」として、荒波(横浜)を充てる(昨季ゴールデングラブの守備範囲の広さ、昨季24盗塁の快足を買っては勿論だが、横浜高校出身なので、大舞台での精神力は勿論、成瀬と同学年、涌井の1年先輩であることをも考慮している。盛り上げ役としての意図もある)。

 [17]ラストとして、第2、第3捕手の人選。「第2捕手」としては、中堅、若手から人選したい。という訳で、嶋(東北楽天)を選出(配球術や統率力の卓越性、エースを担って欲しい田中将との相性をも考慮。勿論人望を買ってでもある)。この場合、田中将先発時は、嶋を捕手に起用して、阿部を一塁手、松田を三塁手で起用する。そしてラストの「第3捕手」は、「精神的支柱」になり得る存在が求められる。故にベテランを充てたい訳であり、この観点をも考慮して、里崎(千葉ロッテ)を選出。理由としては、「長く所属チームで、第2、第3捕手を経験してきたので、控え選手の気持ちがわかる」「06年WBCで正捕手を担ったので、国際試合での心得を熟知している」「気さくな人間性で人望が厚い」からである。これで「28人枠」が確定。

 

 

 故に、上記のことを踏まえて、下記のような感じになります。

 

 

 (図解14)自分(愛球人)が考える、「2013年WBC野球日本代表28人枠」。

 

 (投手[14人]。)

 田中将大(東北楽天、右)[昨季成績10勝4敗。11年沢村賞等。]

 内海哲也(巨人、左)[今季成績15勝6敗。11年、12年最多勝等。]

 前田健太(広島、右)[今季成績14勝7敗。10年沢村賞等。]

 能見篤史(阪神、左)[今季成績10勝10敗。12年奪三振王。]

 成瀬善久(千葉ロッテ、左)[今季成績12勝11敗、07年防御率王。]

 岸孝之(埼玉西武、右)[今季成績11勝12敗。]

 澤村拓一(巨人、右)[今季成績10勝10敗。11年新人王。]

 山口俊(横浜、右)[今季成績1勝2敗22S。]

 青山浩二(東北楽天、右)[今季成績5勝4敗22S。]

 森福充彦(ソフトバンク、左)[今季成績2勝5敗17S。]

 牧田和久(埼玉西武、右)[今季成績13勝9敗。11年新人王。]

 石川雅規(ヤクルト、左)[今季成績8勝11敗。08年防御率王等。]

 涌井秀章(埼玉西武、右)[今季成績1勝5敗30S。09年沢村賞等。]

 杉内俊哉(巨人、左)[今季成績12勝4敗。05年沢村賞等。]

 

 (捕手。)

 阿部慎之助(巨人、左)[今季成績打率340、27本塁打、104打点、0盗塁。12年MVP、首位打者等。]

 嶋基宏(東北楽天、右)[今季成績打率291、1本塁打、8打点、3盗塁。]

 里崎智也(千葉ロッテ、右)[今季成績打率244、9本塁打、41打点、0盗塁。]

 

 (内野手。)

 中田翔(日本ハム、右)[今季成績打率239、24本塁打、77打点、5盗塁。]

 T岡田(オリックス、左)[今季成績打率280、10本塁打、56打点、4盗塁。10年本塁打王。] 

 松田宣浩(ソフトバンク、右)[今季成績打率300、9本塁打、56打点、16盗塁。]

 坂本勇人(巨人、右)[今季成績打率311、14本塁打、69打点、16盗塁。12年最多安打。]

 鳥谷敬(阪神、左)[今季成績打率262、8本塁打、59打点、15盗塁。11年最高出塁率。]

 本多雄一(ソフトバンク、左)[今季成績打率246、0本塁打、31打点、34盗塁。10年、11年盗塁王。]

 浅村栄斗(埼玉西武、右)[今季成績打率245、7本塁打、37打点、13盗塁。]

 

 (外野手。)

 長野久義(巨人、右)[今季成績打率301、14本塁打、60打点、20盗塁。11年首位打者等。]

 内川聖一(ソフトバンク、右)[今季成績打率300、7本塁打、53打点、6盗塁。11年MVP、首位打者等。]

 聖澤諒(東北楽天、左)[今季成績打率270、4本塁打、45打点、54盗塁。12年盗塁王。]

 荒波翔(横浜、左)[今季成績打率.268、1本塁打、25打点、24盗塁。]

 

 

 (図解15)「愛球人が考える2013年WBC日本代表28人枠」における、具体的起用法。

 

 [投手。]

 先発(田中将、内海、前田健。)

 第2の先発[ロングリリーフ](能見、成瀬、岸。)

 中継ぎ(澤村、山口俊、青山、森福。)

 セットアッパー(牧田、石川、涌井。)

 抑え(杉内。)

 

 

 [打者。]

 〈スタメン。〉

 1(中)聖澤

 2(二)本多

 3(左)内川

 4(DH)中田翔

 5(捕)阿部

 6(一)松田

 7(遊)坂本

 8(三)鳥谷

 9(右)長野

 

 〈控え。〉

 左の代打(T岡田)

 内外野守備要員、代走(浅村)

 外野守備要員、代走(荒波)

 第2捕手(嶋)

 第3捕手、右の代打(里崎)

 

 

 上記の陣容により、特に投手起用では、局面に応じたきめ細かい継投が可能になります。

 打者起用においては、例えば、田中将先発時は、「5番一塁手」阿部、「8番捕手」嶋にする。

 浅村を一塁手にする場合は、「6番三塁手」松田、「8番一塁手」浅村にする。

 外野守備を分厚くしたい場合は、「3番一塁手」内川、「6番三塁手」松田、「8番右翼手」荒波、「9番左翼手」長野にする。

 大砲3人を同時起用したい場合は、「6番三塁手」松田、「8番一塁手」T岡田にする。

 

 代打(主としてT岡田)を起用したい局面は、中盤以後のチャンス時で、8番、9番の打順のときが基本でしょう。そしてT岡田が出塁したら、あるいは、試合終盤で内川、阿部が出塁した場合とかでは、代走に、浅村あるいは荒波を起用する。

 このような方法により、少ない打撃陣の持ち駒でも、やりくりの幅を拡げることが可能になります。

 

 仮に、万一中田翔が欠場した場合ならば、「4番DH」にT岡田を充てればよい。

 内川不在時ならば、「3番遊撃手」坂本、「7番左翼手」T岡田にする。守備重視ならば、「7番三塁手」鳥谷、「8番右翼手」荒波、「9番左翼手」長野にする。

 阿部不在時ならば、「5番遊撃手」坂本、「7番捕手」嶋にする。

 あくまでも、例えばですが、このような方法が可能になる、ということです。

 

 

 つまり、何が言いたいのか、と述べれば、国内組オンリーでも、多様なタイプの選手をバランスよく配すれば、やりくり次第で、相手を混乱に陥れることが可能になる、苦しい局面を打開し得る可能性が高まる、それができたのではないか、と強く抱くのです。

 

 苦しい局面を打開し得る救援投手の起用の選択肢。得点が欲しいとき、流れを変えたいときの頼れる代打要員。そういった存在のレパートリーを、あまりもてない人選をしてしまったのではないか。それ故に、ある種「自壊」していった、自分は、そのように映るのです。

 

 

 繰り返しますが、「タイトルホルダー」であろうとも、最優先すべきは、「国際試合向きの特有の持ち味があるか」「大舞台での精神力、あるいは経験(高校野球の全国大会、大学世界選手権等を含む)」「野球IQ(状況判断能力等)」「利他的メンタリティー(エゴイスティックなプレーは代表には不向き)」、そういったことを考慮すべきではなかったか、と言いたい訳です。

 名指しはしたくないですが、いわゆる「やらかし」はいて欲しくないと思うのです。例えば、2次Rで16対4と大勝した、オランダ戦がありましたが、この試合、確かに6本塁打の一発攻勢で、見ている分には楽しかったですけど、あの試合は、本来ならば完封可能な試合だった。誰とは言いませんが、目測を誤るプレーを平気でする(失策にならない失策。昨年の日本シリーズでもやらかしていたと記憶する)。あのような「やる気のない」プレーは、代表では足枷でしかありません(というか、自分が指揮官ならば、最も嫌がるプレーかもしれませんが)。

 

 ですので、(図解14)(図解15)のメンバーにおいて、何人か、タイトルホルダーが外れていることが、お気付きであろうかと思いますが、代表に必要なのは、「チーム力」であって、「個の能力が高い順」で編成できるほど生易しくはない、ということです。

 近年、バスケットボールやサッカー等で、「チームケミストリー」ということがいわれますが、結局、チームは生き物なのです。人間がすることなのですから。それをあまり重きを置いていなかったのではないか、だから負けた、と自分は解釈しています。

 

 お前はこういう起用法で行くからな、と。例えば、所属チームでは三塁手起用が基本だけど、今回は、チーム力向上のために、一塁手や左翼手起用の可能性もある、とか、所属チームではエース級(あるいは絶対的抑え)だけど、今回は、同点やビハインド時の火消し役、あるいはワンポイント起用が主たる起用局面になる、と。

 ちゃんと個々の選手に、想定している起用法を説明できていたのか、と感じるんですよね。それができていれば、もう少し試合を組み立てられたかもしれないのに、と思いますから。

 

 

 長々と、「選手選考に『メッセージ性』『フィロソフィー』が伝わらない、だから敗北は必然であった。」ということを、述べてきました。

 ですが、それは問題の大きな要素の一つですが、それだけではない、とも思うのです。

 

 そう。「他国のレベルアップ。他国が日本に追い付いてきた。もう、ほとんどの参加国と日本との差は、さほどないと考えねばならない。」ということです。それへの認識が、あまりなかったといわざるを得ないのではないか、とも感じるんですよね。

 

 

 という訳で、(その5)にて、ラストの考察として、「第4回WBCでの覇権奪還のために、日本球界がすべきことは何か。」についての考察をしたいと思います。

 

 

 という訳で、長い文章になりますので、続きを(その5)にて記します。

 何卒、最後まで御拝読して頂けると、とても有難く思います。

 

 よろしく御願い申し上げます。